霊長類多能性幹細胞の造血系統細胞への分化
专利摘要:
本発明は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および骨形成タンパク質4(BMP-4)を含む複数の外因性サイトカインを用いて、霊長類多能性幹細胞を造血系統の細胞に分化させる方法を開示する。 公开号:JP2011515110A 申请号:JP2011502069 申请日:2009-03-26 公开日:2011-05-19 发明作者:スイ ツェン;ケビン ニシモト;アニッシュ;セン マジュンダール;アニータ レディ;ジェーン レブコウスキ 申请人:ジェロン・コーポレーションGeron Corporation; IPC主号:C12N5-0784
专利说明:
[0001] 本出願は2008年3月27日提出の仮出願第61/039,835号および2008年7月16日提出の仮出願第61/081,242号に対する優先権を主張し、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。] [0002] 発明の分野 本発明は、幹細胞の生物学の分野に関する。] 背景技術 [0003] 背景 多能性幹細胞は培養中継続的に増殖する能力、および適当な増殖条件下で、内胚葉、中胚葉および外胚葉の3つの一次胚葉すべてを表す、系統を限定した細胞型に分化する能力の両方を有する(米国特許第5,843,780号;第6,200,806号;第7,029,913号;Shamblott et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726;Takahashi et al., (2007) Cell 131(5):861;Yu et al., (2007) Science 318:5858)。特定の系統に限定した細胞型に適した増殖条件を規定することは、研究および治療的適用において用いるためにその細胞型を実質的に無制限に供給することになる。] [0004] 多能性幹細胞を造血系統細胞に分化させうることは特に有用であろう。造血系統細胞は中胚葉から発生し、免疫系および循環系をそれぞれ構成する白血球および赤血球の両方を含む。これらの細胞の無制限の供給は、免疫系および循環系両方の発生および機能の両方をより完全に理解するために必要なツールを提供するであろう。また、有益および有害両方の免疫応答を調節するための戦略の見通しも提供するであろう。] [0005] 免疫系は先天性または非特異的免疫応答ならびに適応または特異的免疫応答を提供する。適応免疫応答は長期持続する保護応答で、ほとんどのワクチンプロトコルが刺激しようとするのはこの応答である。適応免疫応答に関与する細胞には、リンパ球(T細胞およびB細胞)ならびに樹状細胞(DC)が含まれる。T細胞およびB細胞は、病原体上で発現される抗原エピトープを特異的に認識することにより、標的病原体を除去する。T細胞は、ウイルス感染した細胞および腫瘍細胞を標的とすることに特に長けている細胞毒性を有する。B細胞は、標的抗原に結合し、補体系を活性化して標的のオプソニン化および溶解を促進する抗体を分泌する。いずれの応答も記憶応答として特徴づけられ、したがって一定の期間保護的である。DCは適応免疫応答を開始する際に重要な役割を果たす。これらは適当な主要組織適合複合体(MHC)に関連してリンパ球に抗原を提示し、したがって適合免疫応答を開始するための初期刺激を提供する。DCの迅速な供給は、宿主における治療的または予防的免疫応答のいずれかを生じさせる手段を提供しうるであろう。] [0006] いくつかの試験が、適合免疫応答を生じさせるための媒体としてのDCの可能性を示しており(例えば、Mayordomo et al., (1995) Nature Med 1:1297;Celluzi et al., (1996) J. Exp. Med. 183:283;Su et al., (1998) J. Exp. Med. 188:809参照)、DCの放射線照射の影響を調べた試験が含まれる(例えば、Cao et al. (2004) Cell Biology International 28:223;Merrick et al., (2005) British Journal Of Cancer 92:1450;Young et al. (1993) Blood 81(11):2987;Denfield et al. (2001) Journal Of Leukocyte Biology 69:548;Dudda et al. (2004) Journal of Investigative Dermatology 122:945参照)。] [0007] 樹状細胞の可能性は多能性幹細胞の有望性と共に、研究者らを多能性幹細胞をDCまたはそれらの前駆体に分化させる試みへと向かわせた(例えば、米国特許第7,247,480号;米国特許広報第2002/0086005号;第2003/0153082号;第2006/0275901号;第2006/0147432号;第2006/0063255号;第2006/0147432号;Fairchild et al., (2005) International Immunopharmacology 5:13;Tacken et al., (2007) Nature Reviews Immunology 7:790;Senju et al., (2007) Stem Cells 25(11):2720;Sluvkin et al., (2006) J of Immunology 176:2924;Li et al., (2001) Blood 98(2):335;Kaufman et al., (2001) Proc Natl Acad Sci 98(19):10716;Chadwick et al., (2003) Blood 102(3):906;Zhan et al., (2004) Lancet 364:163;Fairchild et al., (2000) Current Biology 10:1515;Kennedy et al., (2007) Blood 109(7):2679;Ng et al., (2005) Blood 106(5):1601;Fehling et al., (2003) Development 130:4217;Lu et al., (2004) Blood 103(11):4134;Zambidis et al., (2005) Blood 106(3):860;Bandi et al., (2008)AIDS Research and Therapy 5:1;Pick et al., (2007) Stem Cells 25:2206参照)。] [0008] これらの研究者らの多くは、その幹細胞を増殖および/または分化させるのにストローマ細胞および/またはフィーダー細胞に頼っていた。フィーダー細胞およびストローマ細胞の使用は厄介で、高価で、時間がかかり、規模拡大が困難である。これらの研究者の中には、そのプロトコルにおいて動物血清などの動物生成物を用いる者もあった。しかし、動物生成物を用いることは、細胞に動物原性の感染因子が混入するリスクが伴う。さらに、無作為または計画が不十分な分化プロトコルに頼る研究者もあり、予測不可能な結果をもたらし、一般に生成物の収率は低かった。] [0009] 多能性幹細胞から分化した造血系統細胞、ならびに規模の拡大縮小が可能で、経済的、効率的、信頼性があり、安全、および良好な収率で生成物を提供可能な、これらの細胞の産生法が必要とされている。本明細書に記載する本発明の様々な態様は、これらの必要性および他の必要性にも合致する。] [0010] 発明の概要 特定の態様において、本発明は霊長類多能性幹細胞(pPS)の造血系統細胞へのインビトロ分化を提供する。pPS細胞は、ヒト造血系統細胞への分化に適したヒト多能性幹細胞であってもよい。造血系統細胞には、例えば、未熟樹状細胞(imDC)、成熟樹状細胞(mDC)、骨髄前駆細胞、単球が含まれうる。] [0011] 特定の他の態様において、本発明はpPS細胞の中胚葉細胞へのインビトロ分化の方法を提供する。] [0012] pPS細胞の造血系統細胞への分化は、インビトロで細胞、例えば、pPS細胞を、複数の外因性サイトカイン、および/または細胞表面上で発現されるタンパク質に対する複数の外因性リガンド(例えば、サイトカイン受容体に特異的に結合する抗体などのサイトカイン受容体に対する外因性リガンドを含む)を含む分化カクテルと、細胞集団が異なる表現型、例えば、造血系統細胞の表現型を有する一方で、基本的に同じ遺伝子型を維持している細胞に分化するように、接触させる段階を含む。適当な外因性サイトカインには下記の複数が含まれうる:顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、骨形成タンパク質4(BMP-4)、血管内皮増殖因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、胎児肝キナーゼリガンド(FLT3L)、インターロイキン4(IL-4)およびインターロイキン3(IL-3)。] [0013] 同じ遺伝子型を有する細胞への言及は、ヒトの手によって細胞を遺伝子操作できないこと(遺伝子改変された細胞を含む態様を以下に記載する)、または非常に小さい変化(例えば、全ゲノムの数分の1パーセント未満)が自然に起こりうること(例えば、非コーディング領域において)を意味する意図はなく、むしろ細胞をpPS細胞から造血系統の細胞に分化させる行為は、それ自体では、遺伝子型の改変をもたらすものではないことを単に示唆するように意図される。典型的には、親(未分化細胞)とその分化した子孫との間の遺伝的同一性は、同じ双生児の間で見られる遺伝的同一性と類似であろう。] [0014] 特定の態様において、pPS細胞の造血系統細胞へのインビトロ分化の方法は、無血清で実施してもよい。いくつかの態様において、pPS細胞の造血系統細胞への分化の方法は、フィーダーフリーで実施してもよい。様々な態様において、pPS細胞の造血系統細胞への分化の方法は、ストローマ細胞フリーで実施してもよい。特定の態様において、pPS細胞の造血系統細胞への分化の方法は、外因性IL-3の添加またはIL-3受容体に対する外因性リガンドの添加なしに実施してもよい。] [0015] いくつかの態様において、本発明はインビトロでpPS細胞をimDCに分化させる方法であって、pPS細胞をGM-CSFおよびBMP-4を含む複数の外因性サイトカインと接触させる段階を含む方法を提供する。複数の外因性サイトカインには下記の1つまたは複数がさらに含まれうる:VEGF、SCF、TPO、FLT3L、およびIL-3。いくつかの態様において、IL-4もこの分化カクテルに含まれうる。] [0016] さらに他の態様において、本発明はインビトロでpPS細胞をmDCに分化させる方法であって、1)pPS細胞を、pPS細胞をimDCに分化させるのに適した、複数の外因性サイトカイン、および/または細胞表面上で発現されるタンパク質、例えば、サイトカイン受容体に対する複数の外因性リガンドを含む分化カクテルと接触させ、それによりpPS細胞をimDCに分化させる段階;ならびに2)imDCを、imDCのmDCへの成熟を促進するのに適した、複数の外因性サイトカイン、および/または細胞表面上で発現されるタンパク質、例えば、サイトカイン受容体に対する外因性リガンドを含む成熟カクテルと接触させ、それによりimDCをmDCに分化させる段階を含む方法を提供する。分化カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:GM-CSF、VEGF、BMP-4、SCF、TPO、FLT3LおよびIL-3。成熟カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン1β(IL1β)、インターフェロンγ(IFNγ)、プロスタグランジンE2(PGE2)、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(POLY I:C)、インターフェロンα(IFNα)、CD40LおよびGM-CSF。] [0017] 一つの態様において、本発明はインビトロでpPS細胞をmDCに分化させる方法であって、pPS細胞を、BMP-4、GM-CSF、VEGFおよびSCFを含む分化カクテルならびに適当な成熟カクテル、例えば、GM-CSF、IFNγ、TNFα、IL1β、およびPGE2を含む成熟カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する。この態様において、IL-4も分化カクテルに含まれうる。] [0018] いくつかの態様において、分化カクテルの組成はpPS細胞の造血系統細胞への分化の間同じままであってもよい。例えば、分化カクテルはpPS細胞をimDCに分化させる間中、BMP-4、GM-CSF、VEGFおよびSCFを含んでいてもよい。いくつかの態様において、IL-4も分化カクテルに含まれうる。] [0019] 他の態様において、分化カクテルの組成は分化プロトコル中に変化してもよい。したがって、本発明のいくつかの態様において、分化カクテルはプロトコルの1つまたは複数の段階のために4つの外因性サイトカイン、または細胞表面タンパク質に対する4つの外因性リガンドを含んでいてもよく、一方、分化プロトコルの他の段階において、分化カクテルは3、2、または1つの外因性サイトカイン、または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンドを含んでいてもよい。例えば、細胞をまずBMP-4、VEGFおよびSCFを含む分化カクテル(GM-CSFは任意にこの最初の段階に含まれてもよい)と接触させ、続いてVEGF、SCFおよびGM-SCFを含む分化カクテル、続いてSCFおよびGM-CSFを含む分化カクテル、続いてGM-CSFを含む分化カクテル、続いてGM-CSFおよびインターロイキン4(IL-4)を含む分化カクテルと接触させて、pPS細胞をimDCに分化させてもよい。次いで、imDCを適当な成熟カクテル、例えば、IFNγ、TNFα、IL1β、およびPGE2を含む成熟カクテルと接触させてもよい。] [0020] さらなる態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を、CD83、CD14、MHCI、MHC II、CD11cおよびCD11bの1つまたは複数を発現する細胞に分化させる方法であって、pPS細胞を下記の複数と接触させる段階を含む方法を提供する:GM-CSF、BMP-4、VEGF、SCF、FLT3L、TPO、およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。] [0021] さらなる態様において、本発明はインビトロでステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞を、CD83、CD14、MHCI、MHC II、CD11cおよびCD11bの1つまたは複数を発現する細胞に分化させる方法であって、pPS細胞を下記の複数と接触させる段階を含む方法を提供する:GM-CSF、BMP-4、VEGF、SCF、FLT3L、TPO、およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。] [0022] さらなる態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を、CD83、CD14、MHCI、MHC II、CD11cおよびCD11bを発現する細胞に分化させる方法であって、pPS細胞をGM-CSFおよびBMP-4ならびに/または細胞表面受容体に対する外因性リガンドを含む複数の外因性サイトカインと接触させる段階を含む方法を提供する。複数の外因性サイトカインには下記の1つまたは複数がさらに含まれうる:VEGF、SCF、FLT3L、TPO、およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。細胞表面タンパク質の例には、前述のサイトカインの1つの受容体が含まれうる。] [0023] いくつかの態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を、MHC-I、MHC-II、CD83、CD205、CD11b、CCR7、CD40、CD86、CD123、CD11cの1つまたは複数を発現する細胞に分化させる方法であって、pPS細胞を1)分化カクテルと接触させる段階、および次いで1)の細胞を成熟カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する。分化カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:GM-CSF、BMP-4VEGF、SCF、FLT3L、TPO、IL-4およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。成熟カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:GM-CSF、TNFα、IL1β、IFNγ、PGE2、POLY I:C、IFNαおよび/または細胞表面タンパク質に対するリガンド。細胞表面タンパク質の例には、前述のサイトカインの1つの受容体が含まれうる。] [0024] 特定の態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を、CD83を発現する細胞に分化させる方法であって、pPS細胞を分化カクテルおよび成熟カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する。分化カクテルはGM-CSFおよびBMP-4ならびに/または細胞表面受容体に対する外因性リガンドを含んでいてもよい。いくつかの態様において、分化カクテルは下記の1つまたは複数をさらに含んでいてもよい:VEGF、SCF、FLT3L、TPO、IL-4およびIL-3。成熟カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:TNFα、IL1β、IFNγ、PGE2、POLY I:C、IFNα、CD40LおよびGM-CSF。いくつかの態様において、CD83を発現する細胞は下記の1つまたは複数も発現しうる:CD86、CD14、CD11b、CD11c、CD205、MHCIおよびMHC II。いくつかの態様において、分化カクテルはサイトカイン受容体などの細胞表面タンパク質に対する外因性リガンドを含んでいてもよい。] [0025] さらに他の態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を、CD45およびCD11cを発現する細胞の集団に分化させる方法であって、pPS細胞を、GM-CSFおよびBMP-4ならびに/または細胞表面受容体に対する外因性リガンドを含む複数の外因性サイトカインと接触させる段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、複数の外因性サイトカインには下記の1つまたは複数がさらに含まれうる:VEGF、SCF、FLT3L、TPO、およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。CD45発現細胞はCD45hi細胞でありうる。] [0026] さらなる態様において、本発明はインビトロでステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞を、CD45およびCD11cを発現する細胞の集団に分化させる方法であって、ステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞を、GM-CSFおよびBMP-4ならびに/または細胞表面受容体に対する外因性リガンドを含む複数の外因性サイトカインと接触させる段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、複数の外因性サイトカインには下記の1つまたは複数がさらに含まれうる:VEGF、SCF、FLT3L、TPO、およびIL-3ならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。CD45発現細胞はCD45hi細胞でありうる。] [0027] 1つまたは複数のマーカーを発現する細胞を分化させることへの言及には、言及されたマーカーの発現が出発細胞集団(例えば、分化した細胞集団に対して前駆細胞集団)と比べると増大している(例えば、分化の結果として)態様が含まれうる。] [0028] さらなる態様において、本発明はインビトロでpPS細胞を中胚葉に分化させる方法であって、pPS細胞を、複数の外因性サイトカインを含む分化カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する。分化カクテルは下記の複数を含んでいてもよい:BMP-4、VEGF、SCF、FLT3LおよびGM-CSFならびに/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンド。一つの態様において、分化カクテルはBMP-4、VEGF、SCFを含んでいてもよい。] [0029] 他の態様において、本発明は、pPS細胞を含む第一の細胞集団および造血系統細胞を含む第二の細胞集団を含む細胞培養物を提供する。造血系統細胞には下記の1つまたは複数が含まれうる:血管芽細胞、造血幹細胞、骨髄前駆細胞、顆粒単球前駆細胞、単球、imDCおよびmDC。いくつかの態様において、細胞培養物は複数の外因性サイトカインおよび/またはサイトカイン受容体などの細胞表面タンパク質に対するリガンドを含んでいてもよい。適当な外因性サイトカインには下記が含まれうる:GM-CSF、VEGF、BMP-4、SCF、FLT3L、IL-4、TPO、TNFα、IL1β、IFNγ、PGE2、POLY I:C、IFNα。細胞培養物は外因性CD40Lも含みうる。いくつかの態様において、細胞培養物は任意に外因性IL-3またはIL-3受容体に対する外因性リガンドを含んでいなくてもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はフィーダーフリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はストローマ細胞フリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物は無血清でもよい。] [0030] さらに他の態様において、本発明は、pPS細胞を含む第一の細胞集団およびDC、例えば、mDC、imDCを含む第二の細胞集団を含む細胞培養物を提供する。いくつかの態様において、細胞培養物は複数の外因性サイトカインを含んでいてもよい。適当な外因性サイトカインには下記が含まれうる:GM-CSF、VEGF、BMP-4、SCF、TPO、TNFα、FLT3L、IL1β、IL-4、IFNγ、PGE2、POLY I:C、IFNα。細胞培養物は外因性CD40Lも含みうる。一つの態様において、本発明は、pPS細胞を含む第一の細胞集団およびDC、例えば、mDC、imDCおよび外因性BMP-4およびGM-CSFを含む第二の細胞集団を含む細胞培養物を提供する。いくつかの態様において、細胞培養物は任意に外因性IL-3またはIL-3受容体に対する外因性リガンドを含んでいなくてもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はフィーダーフリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はストローマ細胞フリーでもよい。様々な態様において、細胞培養物は無血清でもよい。特定の態様において、細胞培養物を放射線照射してもよい。例えば、放射線照射した細胞培養物には、mDCを含む細胞培養物が含まれうる。放射線照射した細胞培養物は少なくとも1つのpPS細胞も含みうる。他の態様において、細胞を、化学療法剤、例えば、マイトマイシン、シスプラチンなどの細胞分裂を阻害するのに適した化学物質と接触させてもよい。] [0031] さらなる態様において、本発明は細胞培養物における細胞分裂を阻害する方法であって、細胞培養物を放射線源または化学物質と接触させる段階を含み、ここで細胞培養物は少なくとも1つのpPS細胞およびインビトロでpPS細胞から分化したmDCを含む方法を提供する。] [0032] さらに他の態様において、本発明は免疫調節製剤を作成する方法であって、1)pPS細胞の集団の少なくとも一部をmDC細胞に分化させ、それによりmDCおよび少なくとも1つのpPS細胞を含む混合細胞集団を得る段階、ならびに2)1)の混合細胞集団を放射線源または化学物質と接触させ、それにより免疫調節製剤を得る段階を含む方法を提供する。この方法は、mDCを含む混合細胞集団を抗原、例えば、タンパク質またはペプチドと接触させる段階をさらに含んでいてもよい。細胞の集団を抗原と、細胞を放射線と接触させる前に接触させてもよい。免疫調節製剤は抗原に対する免疫応答を刺激しうる。] [0033] さらなる態様において、本発明は免疫調節製剤を作成する方法であって、1)pPS細胞の集団の少なくとも一部をimDC細胞を含む集団に分化させ、それによりimDCおよび少なくとも1つのpPS細胞を含む混合細胞集団を得る段階;2)imDCを含む細胞集団を抗原をコードする核酸と接触させる段階;3)2)の細胞集団を成熟カクテルと、imDCがmDCに成熟するように接触させ、ここで集団は少なくとも1つのpPS細胞を含む段階;ならびに4)3)の混合細胞集団を放射線源または化学物質と接触させ、それにより免疫調節製剤を得る段階を含む方法を提供する。免疫調節製剤は抗原に対する免疫応答を刺激しうる。] [0034] さらに他の態様において、本発明は免疫調節製剤を作成する方法であって、1)pPS細胞の集団の少なくとも一部をimDC細胞を含む集団に分化させ、それによりmDCおよび少なくとも1つのpPS細胞を含む混合細胞集団を得る段階;2)1)の細胞集団を成熟カクテルと、imDCがmDCに成熟するように接触させ、ここで細胞集団は少なくとも1つのpPS細胞を含む段階;3)mDCを含む細胞集団を抗原をコードする核酸と接触させる段階;ならびに4)3)の混合細胞集団を放射線源または化学物質と接触させ、それにより免疫調節製剤を得る段階を含む方法を提供する。免疫調節製剤は抗原に対する免疫応答を刺激しうる。] [0035] さらに他の態様において、pPS細胞のインビトロ子孫である有糸分裂を不活化したmDCを含む免疫調節組成物を提供する。細胞の有糸分裂を不活化するために、組成物を放射線照射または化学療法剤、例えば、マイトマイシン、シスプラチンなどの細胞分裂を阻害するのに適した化学物質で処理してもよい。いくつかの態様において、免疫調節組成物は、放射線照射前に抗原または抗原をコードする核酸と接触させたDC、例えば、mDCまたはimDCを含んでいてもよい。免疫調節応答は、抗原に対する免疫応答を刺激するものであってもよい。] [0036] 他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激する方法であって、a)インビトロでpPS細胞から分化したmDCを得る段階;b)mDCを抗原または抗原をコードする核酸分子と接触させる段階;c)b)のmDCを放射線源または細胞分裂を阻害するのに適した化学物質、例えば、マイトマイシンと接触させる段階;d)c)のmDCを免疫学的に適格な細胞と接触させ、それにより抗原に対する免疫応答を刺激する段階を含む方法を提供する。] [0037] 他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激する方法であって、a)インビトロでpPS細胞から分化したimDCを得る段階;b)imDCを抗原をコードする核酸分子と接触させる段階;c)imDCを成熟カクテル(本明細書に記載のとおり)と、imDCがmDCに成熟するように接触させる段階;d)c)のmDCを放射線源または細胞分裂を阻害するのに適した化学物質、例えば、マイトマイシンと接触させる段階;e)d)のmDCを免疫学的に適格な細胞と接触させ、それにより抗原に対する免疫応答を刺激する段階を含む方法を提供する。] [0038] 他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激する方法であって、a)pPS細胞を分化カクテルおよび成熟カクテルと、pPS細胞がmDCに分化するように接触させる段階;b)a)のmDCを抗原または抗原をコードする核酸分子と接触させる段階;c)b)のmDCを免疫学的に適格な細胞と接触させ、それにより抗原に対する免疫応答を刺激する段階を含む方法を提供する。分化カクテルは複数の外因性サイトカインおよび/または細胞表面タンパク質に対する複数の外因性リガンドを含んでいてもよい。分化カクテルはGM-CSF、BMP-4、VEGF、SCF、FLT3L、TPO、IL-4およびIL-3を含んでいてもよい。成熟カクテルは下記の1つまたは複数を含んでいてもよい:GM-CSF、TNF-α、IL1β、IFNγ、PGE2、POLY I:C、IFNα。いくつかの態様において、細胞培養物は任意に外因性IL-3またはIL-3受容体に対する外因性リガンドを含んでいなくてもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はフィーダーフリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はストローマ細胞フリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物は無血清でもよい。] [0039] さらに他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激するためのキットであって、1)pPS細胞およびDCを含む細胞培養物ならびに2)1つまたは複数の容器を含むキットを提供する。DCはmDCまたはimDCでありうる。細胞培養物は外因性サイトカインおよび/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンドを含んでいてもよい。外因性サイトカインおよび/または細胞表面タンパク質に対する外因性リガンドには下記の複数が含まれうる:GM-CSF、VEGF、BMP-4、SCF、FLT3L、TPO、IL-4、IL-3、TNFα、IL1β、IFNγ、PGE2、POLYI:C、IFNα、CD40L。いくつかの態様において、細胞培養物は任意に外因性IL-3またはIL-3受容体に対する外因性リガンドを含んでいなくてもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はフィーダーフリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物はストローマ細胞フリーでもよい。いくつかの態様において、細胞培養物は無血清でもよい。] [0040] さらに他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激するためのキットであって、1)pPS細胞のインビトロ子孫である放射線照射したmDCおよび2)1つまたは複数の容器を含むキットを提供する。] [0041] さらに他の態様において、本発明は抗原に対する免疫応答を刺激するためのキットであって、1)pPS細胞のインビトロ子孫である有糸分裂を不活化したmDC;および2)1つまたは複数の容器を含むキットを提供する。細胞の有糸分裂を不活化するために、mDCを細胞分裂を阻害するのに適した化学物質と接触させてもよい。細胞分裂を阻害するのに適した化学物質には、マイトマイシンCなどのマイトマイシンが含まれうる。または、細胞の有糸分裂を不活化するために、mDCを放射線源と接触させてもよい。] [0042] さらなる態様において、本発明は有糸分裂不活性の抗原提示細胞を産生するためのシステムであって、a)pPS細胞を含む第一の単離細胞集団、およびb)pPS細胞の一部のインビトロ子孫である、有糸分裂を不活化した成熟樹状細胞を含む第二の単離細胞集団を含むシステムを提供する。成熟樹状細胞は放射線照射または化学物質との接触により有糸分裂を不活化してもよい。pPS細胞を含む第一の単離細胞集団(例えば、mDCを作成するために用いられない部分)を用いて、インビトロで第一の細胞集団を分化させることによってさらに第二の単離集団を作成しうることが企図される。] [0043] 本発明の任意の態様を、以下のpPS細胞亜群の1つまたは複数を代わりに用いることによって実施しうることが企図される:ヒト胚性幹細胞、ヒト胚性生殖細胞、アカゲザル幹細胞、マーモセット幹細胞、核移植幹細胞および/または人工多能性幹細胞、これらはすべて以下に記載する。] 図面の簡単な説明 [0044] 図1Aは、pPS細胞をmDCに分化させるために用いる1つの分化プロトコルの概略図を示す。 図1Bは、X-VIVO(商標) 10培地中で増殖させたhES細胞の光学顕微鏡画像の写真である。 図1Cは、未分化hES上で見られる様々なマーカーの発現レベルを示すフローサイトメトリーのヒストグラムである。 図2は、胚様体および前駆細胞(下の左図)の顕微鏡写真である。 図3A及び3Bは、分化を起こしている細胞培養物における経時的な様々な転写因子の発現を示すグラフである。 図3Cは、分化を起こしている細胞培養物においてフローサイトメトリーにより測定した経時的なCD34およびCD45の発現を示す。 図3Dは、嚢胞性胚様体の顕微鏡写真である。 図3Eは、分化を起こしている細胞培養物においてフローサイトメトリーにより測定した経時的なCD13およびCD14の発現を示す。 図3Fは、フローサイトメトリーにより測定したCD45hi集団(上の2つの図)およびCD45lo集団(下の2つの図)両方におけるCD14の発現を示す。 図3Gは、フローサイトメトリーにより測定したCD45hi集団におけるCD11c、CD11b、CD83、CD86(下の2つの図)、HLA-IおよびHLA-II(上の右図)の発現を示す。上の左図はCD45hiおよびlo集団のゲーティングを示す。 図4Aは、imDCのマーカーのフローサイトメトリーによるヒストグラム分析を示す。 図4Bは、mDCのマーカーのフローサイトメトリーによるヒストグラム分析を示す。 図4Cは、分化中の細胞培養物における経時的な転写因子発現を示すグラフである。 図4DはDCクラスターの顕微鏡写真である。図4Eはメイ-グリュンワルド染色剤により染色したDCの顕微鏡写真である。 図5Aは、樹状細胞(R1)についてのフローサイトメトリーによる細胞のゲーティングを示し(上図)、樹状細胞についてゲーティングした細胞集団を集め、モデル抗原DQ-OVAをタンパク質分解により処理しうることを示す(下図)。図5Bは、DCがTリンパ球によるIFNγ産生を誘発するためにおたふく風邪抗原を処理し、提示しうることを示すグラフである。 図6A-Cは、imDCおよびmDCのサイトカイン特性を比較するグラフである。 図6Dは、MIP3βに応答してのDC遊走を示すグラフである。 図7Aは、mDCが混合リンパ球反応(MLR)において同種細胞を刺激しうることを示すグラフである。 図7Bは、mDC(ES-DC)によるHLA-A2上で提示されるCMVペプチド抗原に応答してのエフェクターT細胞によるIFN-γ分泌の刺激を示すグラフである。 図7Cは、mDC(ES-DC)によるHLA-A2上で提示されるCMVペプチドに応答してのCFSE標識Tリンパ球増殖のフローサイトメトリー分析を示す。 図8は、mDC(hES-DC)によるHLA-A2上で提示されるhTERTペプチド抗原に応答してのエフェクターT細胞によるIFNγ分泌の刺激を示すグラフである。 図9は、mDCによるHLA-A2上で提示されるhTERTペプチド抗原に応答してのCFSE標識Tリンパ球増殖のフローサイトメトリー分析を示す。 図10は、ペプチド抗原を適用または非適用いずれかの放射線照射したmDC(hES-DC)と放射線照射していないmDC(hES-DC)による抗原特異的T細胞応答の刺激を比較するグラフである。 図11は、放射線照射したmDC(hES-DC)と放射線照射していないmDC(hES-DC)の走化性リガンドMIP3βに応答してのDC遊走を比較するグラフである。 図12は、X-Vivo-10(商標)またはmTeSR(商標)いずれかの培地中で増殖させたhES細胞におけるmDC収率を比較するグラフである。 図13は、Cellgro(商標)またはX Vivo-15(商標)いずれかの培地中インビトロでhES細胞から分化させ、成熟させたDCの表面マーカー発現を比較するグラフである。 図14は、Cellgro(商標)またはX Vivo-15(商標)中で培養したhES由来mDCの細胞遊走を比較するグラフである。 図15は、成熟カクテルに外因性IL-4を添加して、または添加せずに、Cellgro(商標)またはX Vivo-15(商標)培地中で培養したhESC由来DCからのIL-12産生を比較するグラフである。 図16は、GFPをトランスフェクトしたmDC;hTERT-LAMPをトランスフェクトしたmDCSと同時インキュベートしたTERT特異的T細胞;およびT細胞単独(mDC細胞との同時インキュベーションなし)からのIFNγ産生を比較するグラフである。] [0045] 定義 量または値について言及するために本明細書において用いられる「約」とは、示した量または値の+または−5%を意味する。] [0046] 本明細書において用いられる「細胞培養(物)」とは、経時的にインビトロで増殖させた複数の細胞を意味する。細胞培養は複数のpPS細胞または1つのpPS細胞から始めてもよく、1)培養物の生存期間を通して細胞培養物が経験する継代または分裂の数;および2)培養物の生存期間を通して培養物内の1つまたは複数の細胞に対する表現型の任意の変化(例えば、培養物中の1つまたは複数のpPS細胞の分化によって引き起こされる)に関係なく、起始細胞の子孫のすべてが含まれうる。したがって、本明細書において用いられるとおり、細胞培養は1つまたは複数の適当な容器に少なくとも1つのpPS細胞を最初に播種することで始まり、初代の最後の生存子孫を回収するか、またはそれが死滅した時に終わる。1つまたは複数の追加の培養容器に初代細胞の子孫を播種することも、元の細胞培養の一部と考えられる。] [0047] 本明細書において用いられる「サイトカイン」とは、別の細胞、もしくは同じ細胞、または両方の挙動に影響をおよぼす、細胞によって分泌される分子を意味する。] [0048] 本明細書において用いられる「胚様体」なる用語は、霊長類多能性幹細胞を懸濁培養物または凝集物中で非特異的様式で分化させる際に現れる、未分化、分化および部分分化細胞を含む異種クラスターを意味する。] [0049] 本明細書において用いられる「胚性幹細胞」(ES)とは、細胞の3つの胚葉への実質的分化前の、胚盤胞由来の多能性幹細胞を意味する。明らかにそうではないことが要求される場合を除き、この用語は、ES細胞の表現型特性を有する一次組織および樹立細胞株、ならびに3つの胚葉それぞれの表現型形質を有する子孫細胞を産生する能力をまだ有するそのような細胞株の子孫を含む。ES細胞はヒトES細胞(hES)でありうる。原型「ヒト胚性幹細胞」(hES細胞)はThomson et al.(Science 282:1145, 1998;米国特許第6,200,806号)によって記載されており、その中に記載の樹立細胞株を含む。] [0050] 本明細書において用いられる「外因性」とは、細胞培養物などの系に加えられる物質を意味する。物質は系にヒトの手で加えられてもよい。] [0051] 本明細書において用いられる「フィーダー細胞」とは、pPS細胞と同時培養され、pPS細胞を支持する、非pPS細胞を意味する。支持は、pPS細胞が実質的に未分化の状態で維持されるように、pPS細胞培養物に1つまたは複数の細胞因子を提供することにより、pPS細胞培養物の増殖および維持を促進することを含みうる。フィーダー細胞は、pPS細胞と異なるゲノムまたはpPS細胞と同じゲノムのいずれかを有していてもよく、かつマウスなどの非霊長類から生じてもよく、または霊長類起源、例えば、ヒト起源であってもよい。フィーダー細胞の例には、マウス線維芽細胞、ヒト線維芽細胞などの結合組織の表現型を有する細胞が含まれうる。] [0052] 本明細書において用いられる「フィーダーフリー」とは、言及された組成物が添加されたフィーダー細胞を含まない状態を意味する。明らかにするために、フィーダーフリー、なる用語は、特に、霊長類多能性幹細胞が、いくつかのフィーダーを含みうる培養物から、第一の培養物からのフィーダーのいくつかが第二の培養物中に存在するとしても、追加のフィーダーを含まない培養物中に継代される状況を含む。] [0053] 本明細書において用いられる「造血系統細胞」とは、インビトロでpPS細胞から分化した細胞および/またはそれらの子孫を意味し、下記の1つまたは複数が含まれうる:血管芽細胞、造血幹細胞、リンパ系共通前駆細胞、リンパ球、骨髄系共通前駆細胞(CMP)、顆粒単球前駆細胞(GMP)、単球、マクロファージ、imDCおよびmDC。] [0054] 本明細書において用いられる「免疫学的に適格な細胞」とは、抗原に応答可能な細胞を意味する。応答には、例えば、抗原に応答しての細胞増殖、抗原に応答しての1つまたは複数のサイトカインの分泌、抗原に応答しての1つまたは複数の転写因子の発現が含まれうる。免疫学的に適格な細胞の例にはリンパ球が含まれる。] [0055] 本明細書において用いられる「霊長類多能性幹細胞のインビトロ子孫」とは、インビトロで多能性状態から非多能性状態に分化した細胞、例えば、未熟DC、成熟DCを意味する。] [0056] 本明細書において用いられる「霊長類多能性幹細胞」(pPS)とは、任意の源由来であってもよく、適当な条件下で3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)すべての派生物である異なる細胞型の霊長類子孫を産生可能な細胞を意味する。pPS細胞は8〜12週齢SCIDマウスにおいて奇形腫を形成する能力および/または組織培養において3つの胚葉すべての同定可能な細胞を生成する能力を有しうる。霊長類多能性幹細胞の定義に含まれるのは、ヒト胚性幹(hES)細胞(例えば、Thomson et al. (1998) Science 282:1145参照)およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(例えば、Shamblott et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726参照);アカゲザル幹細胞などの他の霊長類からの胚性幹細胞(例えば、Thomson et al., (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844参照)、マーモセット幹細胞(例えば、(1996) Thomson et al., Biol. Reprod. 55:254参照)、核移植技術によって作成された幹細胞(米国特許出願広報第2002/0046410号)、ならびに人工多能性幹細胞(例えば、Yu et al., (2007) Science 318:5858);Takahashi et al., (2007) Cell 131(5):861参照)を含む様々な型の胚細胞である。] [0057] 本明細書において用いられる「未分化霊長類多能性幹細胞」とは、集団における霊長類多能性幹細胞およびそれらの派生物のかなりの比率が未分化細胞の形態学的特徴を示す細胞培養物を意味する。集団内の未分化細胞のコロニーは、部分的に分化した隣接細胞で取り囲まれうることが理解される。] [0058] 本明細書において用いられる「遺伝子改変された」、「トランスフェクトされた」、または「遺伝的に形質転換された」とは、ポリヌクレオチドが任意の適当な人工的操作手段によって細胞に移入されたプロセス、または細胞が最初に改変された細胞の子孫であり、ポリヌクレオチドを受け継いだプロセスを意味する。ポリヌクレオチドは、関心対象のタンパク質をコードする転写可能な配列を含むことが多く、これは細胞が高いレベルのタンパク質を発現することを可能にし、またはそれ自体はタンパク質をコードすることなく、タンパク質の発現(非改変細胞により、または別のポリヌクレオチド配列の導入の結果のいずれかで発現される)に影響をおよぼすsiRNAまたはアンチセンスRNAなどの分子をコードする配列を含んでいてもよい。遺伝子改変は、改変された細胞の子孫が同じ改変を有する場合、「遺伝性」と言われる。] [0059] 本明細書において用いられる「無血清」とは、ウシ胎仔血清、ウシ血清、ウマ血清などの動物血清が添加されておらず、またB-27などの市販の血清代替補充物質が添加されていない、組織培養増殖条件を意味する。無血清には、例えば、ヒトアルブミン、ヒトトランスフェリンおよび組換えヒトインスリンを含みうる培地が含まれる。] [0060] 本明細書において用いられる「自然分化pPS細胞」とは、無作為かつ自然に非pPS表現型へと分化する、すなわちpPS細胞上では発現されない1つまたは複数のマーカーを発現する、および/またはpPS細胞上で発現される1つまたは複数のマーカーを発現しえない、細胞培養物内のpPS細胞を意味する。] [0061] 本明細書において用いられる「ストローマ細胞」とは、1つまたは複数の細胞因子を提供することにより、別の集団、例えば、pPS細胞集団の所望の表現型、例えば、造血系統細胞への分化を促進するために、pPS細胞集団と同時培養しうる細胞を意味する。ストローマ細胞は哺乳動物の骨髄由来であってもよい。OP9およびS17細胞はストローマ細胞の例である。] [0062] 本明細書において用いられる「ストローマ細胞フリー」とは、ストローマ細胞、またはストローマ細胞により調整された培地を、未分化pPS細胞の培養物または造血系統細胞に分化中のpPS細胞の培養物のいずれかに加えないことを意味する。] [0063] MHC-IおよびHLA-Iは、MHC-IIおよびHLA-IIと同様に、交換可能に用いられる。] [0064] 発明の詳細な説明 特定の態様において、本発明は、pPS細胞の造血系統細胞へのインビトロ分化の改善された方法を提供する。したがって、本発明の特定の態様は、pPS細胞をDC(imDCおよびmDCを含む)などの造血系統細胞に分化させるのに適した最小数の外因性因子(サイトカインなど)を必要とする規定の条件を提供する。いくつかの態様において、本発明は、pPS細胞を最小数の外因性サイトカイン、例えば、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下の外因性サイトカインを含む分化カクテルと接触させて、それにより造血系統細胞を生成することを提供する。一つの態様において、規定の条件は、4つ以下の添加外因性サイトカイン、例えば、BMP-4、GM-CSF、SCFおよびVEGFを含む分化カクテルを提供してもよい。他の態様において、既定の条件は3つ以下の添加外因性サイトカイン、例えば、a)BMP-4、GM-CSF、SCF;b)BMP-4、GM-CSF、VEGFを含む分化カクテルを提供してもよい。いくつかの態様において、それぞれのサイトカイン受容体に対するリガンドをそれぞれのサイトカインの代わりに用いてもよく、かつ/またはそれぞれのサイトカインに加えて提供してもよい。造血系統細胞がimDCである態様において、分化カクテルはIL-4をさらに含んでいてもよい。imDCはmDCを産生するために成熟カクテルとさらに接触させてもよい。] [0065] いくつかの態様において、本発明は、pPS細胞をDCなどの造血系統細胞に分化させるための単純化した培養条件を提供する。単純化した培養条件は、無血清、フィーダーフリー、ストローマ細胞フリーの組織培養物中でpPS細胞をDCに分化させることを含んでいてもよく、任意に外因性IL-3の添加を必要としない。pPSの造血系統細胞への分化は、pPSを適当な固体表面上に直接播種し、それにより胚体(EB)を形成する必要を回避することにより実施してもよい。これらの単純化した培養条件は、感染因子への曝露のリスクを解消し、また治療および研究に適用するのに十分な量のimDC細胞を得る、より迅速で、安価な方法も提供する。] [0066] pPS細胞を分化させる方法 pPS細胞を造血系統細胞に分化させるための出発原料は、無血清、フィーダーフリーおよびストローマ細胞フリーで培養したpPS細胞を含む。pPS細胞をフィーダーフリーおよび無血清で培養するための条件が記載されており、例えば、Xu et al., (2001) Nat Biotechnol 19:971;Li et al., (2005) Biotechnol Bioeng 91:688を参照されたい。いくつかの態様において、pPS細胞を細胞凝集物、例えば、胚様体(EB)の形成に適した条件下で培養することが有利でありうる。EBの形成は以前に記載されており、例えば、米国特許広報第2006/0063255号およびPCT広報WO 01/51616を参照されたい。簡単に言うと、未分化pPS細胞をコラゲナーゼ処理によって回収し、細胞のクラスターまたは細片に分離し、非付着細胞培養プレートに凝集物として継代してもよい。回収したpPS細胞はいくつかの自然分化細胞を含んでいてもよい。自然分化細胞の数は、細胞がEBを形成し、次いで造血系統細胞に分化するにつれ、経時的に減少しうることが企図される。凝集物に適当な培地、例えば、X-VIVO 10;X-VIVO 15を供給してもよい。pPS細胞をフィーダーフリー、無血清およびストローマ細胞フリーで、EB形成の前および後の両方で増殖させてもよい。] [0067] 他の態様において、EB形成段階を省略してもよい。したがって、pPS細胞を、組織培養フラスコまたはウェルなどの適当な支持体上に直接播種し、分化カクテルを含む培地中で培養してもよい。] [0068] 様々な態様において、本発明は、pPS細胞を造血系統の細胞および/または中胚葉細胞に分化させる方法を提供する。造血系統細胞にはimDCが含まれうる。いくつかの態様において、本発明は、pPS細胞を造血系統細胞に分化させるのに適した複数の外因的に添加したサイトカイン、例えば、BMP-4およびGM-CSFを含む分化カクテルを提供する。分化カクテルの例には下記のいずれかが含まれうる:a)BMP-4、GM-CSF、VEGF、SCF、FLT3L、TPOおよびIL-3;b)BMP-4、GM-CSF、VEGF、SCFおよびFLT3L;c)BMP-4、GM-CSF、VEGF、およびSCF;d)BMP-4、GM-CSF、SCF;ならびにe)BMP-4、GM-CSF、VEGF。特定の態様において、上に挙げたサイトカインに加えてIL-4を用いてもよい。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカイン受容体に対するリガンドをサイトカインの代わりに、または加えて用いてもよい。] [0069] 様々な造血系統細胞は、細胞を分化カクテルに曝露する時間の長さを調節することにより得られることも判明した。本発明のいくつかの態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約5日間培養して、細胞を中胚葉細胞を含む培養物に分化させてもよい。本発明のもう一つの態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約10日間培養して、細胞を造血幹細胞を含む培養物に分化させてもよい。本発明のさらにもう一つの態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約15日間培養して、細胞を骨髄系共通前駆細胞を含む培養物に分化させてもよい。本発明のさらにもう一つの態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約20日間培養して、細胞を顆粒単球前駆細胞を含む培養物に分化させてもよい。本発明のさらにもう一つの態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約25日間培養して、細胞を単球を含む培養物に分化させてもよい。本発明のさらなる態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約30日間培養して、細胞をimDCを含む培養物に分化させてもよい。] [0070] 本発明のいくつかの態様は、imDCを複数の外因性サイトカインを含む適当な成熟カクテルと接触させることにより、imDCをmDCに成熟させることを提供する。成熟カクテルはGM-CSFを含んでいてもよい。適当な成熟カクテルの例には下記のいずれかが含まれる:a)GM-CSF、TNFα、IL-1β、IFNγ、およびPGE2;b)GM-CSF、TNFα、IL-1β、IFNγ、PGE2およびCD40L;c)GM-CSF、TNFα、IL-1β、IFNγ、PGE2、POLY I:C、およびIFNα;d)GM-CSF、TNFα、IL-1β、IFNγ、POLY I:C、およびIFNα;e)GM-CSF、TNFα、IL-1β、IFNγ、POLY I:C、IFNα、およびCD40L;f)TNFα、IL-1β、PGE2およびIL-6;g)GM-CSF、IL-1β、PGE2、およびIFNγ;h)GM-CSF、TNFα、PGE2、およびIFNγ;i)GM-CSF、IL-1β、IFNγ、およびCD40L。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカイン受容体に対するリガンドをサイトカインの代わりに、または加えて用いてもよい。他の当技術分野において公知の方法を用いて、imDCをmDCに成熟させてもよい。例には、imDCをリポ多糖(LPS)と接触させること、imDCをCpG含有オリゴヌクレオチドと接触させること、imDCを被験者の炎症部位に注入することが含まれる。] [0071] imDCを成熟カクテル存在下、少なくとも約12〜15時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間培養して、mDCを産生してもよい。いくつかの態様において、imDCを成熟カクテル存在下、約24時間培養して、mDCを産生してもよい。他の態様において、imDCを成熟カクテル存在下、約48時間培養して、mDCを産生してもよい。] [0072] mDCはCD83、CD86、MHCIおよびMHC IIなどの1つまたは複数のマーカーを発現しうるが、CD14は発現せず、インビボで分化した成熟DCと類似の機能的特性を有しうる。機能的特性には、抗原を処理し、免疫学的に適格な細胞に提示する能力が含まれうる。抗原の処理および提示には、例えば、標的タンパク質のタンパク質分解、ならびに標的抗原をコードする核酸の発現および処理が含まれうる。mDCは末梢およびリンパ組織内を遊走する能力も有しうる。したがって、本発明のpPS細胞から分化したmDCは、MIP3βなどの適当な刺激に応答して遊走するよう誘導しうる。mDCは、1つまたは複数の炎症誘発性サイトカインなどの、1つまたは複数のサイトカインを分泌しうる。本発明のDCにより分泌される例示的サイトカインには、IL-12、IL-10およびIL-6が含まれうる。] [0073] 本明細書に記載の本発明の様々な態様は、pPS細胞をDCに分化させる方法を提供する。方法は、分化した集団における望まれないpPS細胞ならびに以下に記載する方法に従って作成した細胞(例えば、mDCおよびimDCを含む任意の造血系統細胞)を含む、様々な型の細胞の有糸分裂を不活化することをさらに含みうることが企図される。したがって、本発明のいくつかの態様は、DC細胞をタンパク質もしくはペプチド抗原または抗原をコードする核酸と接触させること、およびDC、例えば、mDCを放射線源または細胞分裂を阻害するのに適した化学物質と接触させることを含んでいてもよい。mDCの放射線源または化学物質への曝露は、mDCが少なくとも1つのpPS細胞を含む細胞集団に含まれる場合に望ましいと考えられる。細胞の放射線照射または細胞の化学物質による処理は、細胞分裂を阻害することになる一方で、mDCの機能性は維持する。さらに、細胞の放射線源または化学物質による処理は、集団中のpPS細胞の存在から生じる任意の望ましくない影響を最小限にしうる。] [0074] いくつかの態様において、本発明は、pPS細胞を中胚葉に分化させる方法であって、pPS細胞を、BMP-4、VEGF、SCFおよび任意にGM-CSFなどの複数の外因性サイトカインを含む分化カクテルと接触させる段階、ならびに細胞を少なくとも1日間培養し、それによりpPS細胞を中胚葉に分化させる段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、細胞を分化カクテルと共に少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間培養し、それによりpPS細胞を中胚葉に分化させてもよい。特定の態様において、pPS細胞を分化カクテルと共に約5日間培養して、pPS細胞を中胚葉に分化させてもよい。いくつかの態様において、分化カクテルは任意に下記の1つまたは複数をさらに含んでいてもよい:FLT3L、TPO、IL-4およびIL-3。この中胚葉細胞は中胚葉細胞によって発現される1つまたは複数の因子またはマーカーを発現しうる。例えば、中胚葉関連転写因子、ブラキュリの発現増大、ならびにpPS関連転写因子Oct4およびTra-160の発現低減は、pPS細胞の中胚葉細胞への分化を示すと考えられる。分化カクテル存在下で培養物を増殖し続けさせることで、中胚葉細胞の、例えば、造血系統の細胞へのさらなる分化を促進しうる。したがって、いくつかの態様において、細胞培養物を分化カクテル存在下、適当な期間増殖させて、細胞を中胚葉細胞を越えて他の造血系統細胞に分化させてもよい。例えば、細胞を本明細書に記載の分化カクテルと共に少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間増殖させ、それによりpPS細胞を造血幹細胞に分化させてもよい。細胞は造血幹細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現しうる。適当なマーカーには、CD45、CD34、およびHoxB4が含まれうる。さらなる態様において、細胞を本明細書に記載の分化カクテルと共に少なくとも約22日間、少なくとも約23日間、少なくとも約24日間、少なくとも約25日間、少なくとも約26日間、少なくとも約27日間、少なくとも約28日間増殖させ、それによりpPS細胞を単球に分化させてもよい。細胞は単球によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現しうる。適当なマーカーには、CD14、CD45およびCD11cが含まれうる。さらなる態様において、細胞を本明細書に記載の分化カクテルと共に少なくとも約20日間、少なくとも約23、少なくとも約25日間、少なくとも約30日間、少なくとも約31日間、少なくとも約32日間、少なくとも約33日間増殖させ、それによりpPS細胞をimDCに分化させてもよい。細胞はimDCによって発現される1つまたは複数のマーカーを発現しうる。適当なマーカーには、CD86、CD83、およびMHCIIが含まれうる。] [0075] 特定の態様において、本発明は、pPS細胞を造血系統細胞に分化させる方法であって、pPS細胞を1つまたは複数の分化カクテルと、pPS細胞が1つまたは複数の造血系統細胞型に分化するように接触させる段階を含む方法を提供する。方法は、段階の1つまたは複数が造血系統の中間細胞型の分化を引き起こす、複数の段階で構成されていてもよい。本発明は、以下に示す段階すべての実行だけでなく、造血系統の所望の中間または前駆細胞型を得るための、1つまたは複数の個々の段階の実行も企図する。] [0076] いくつかの態様において、本発明は、pPS細胞を中胚葉に分化させる方法であって、1)pPS細胞を、BMP-4、VEGF、SCFおよび任意にGM-CSFを含む第一の分化カクテルと接触させ、それによりpPS細胞を中胚葉細胞に分化させる段階を含む方法を提供する。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜5日間培養してもよい。さらなる態様において、段階1)からの中胚葉細胞を、次いでVEGF、SCF、GM-CSFを含む第二の分化カクテルと接触させ、それにより中胚葉細胞を造血幹細胞に分化させてもよい。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜5日間培養してもよい。さらなる態様において、造血幹細胞をGM-CSFを含む分化カクテルと接触させることにより、造血幹細胞を骨髄系共通前駆(CMP)細胞にさらに分化させてもよい。この段階のために、分化カクテルはSCFをさらに含んでいてもよい。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜10日間培養してもよい。いくつかの態様において、CMPをGM-CSFを含む第三の分化カクテルと接触させることにより、CMPを顆粒球/単球共通前駆(GMP)細胞にさらに分化させてもよい。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜5日間培養してもよい。さらなる態様において、GMPをGM-CSFを含む分化カクテルと接触させることにより、GMPを単球にさらに分化させてもよい。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜10日間培養してもよい。さらなる態様において、単球をGM-CSFおよびIL-4を含む分化カクテルと接触させることにより、単球をimDCにさらに分化させてもよい。細胞をこの分化カクテルと共に約1〜5日間培養してもよい。さらなる態様において、imDCを以下に記載の成熟カクテルのいずれかと接触させることにより、imDCをmDCに成熟させてもよい。細胞を成熟カクテルと共に約12〜72時間培養してもよい。いくつかの態様において、細胞を成熟カクテルと共に約24時間培養してもよい。他の態様において、細胞を成熟カクテルと共に約48時間培養してもよい。] [0077] さらに他の態様において、本発明は、pPS細胞をimDCに分化させる方法であって、pPS細胞を下記を含む分化カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する:1)約10ng/mlから約75ng/mlの範囲のBMP-4;および2)約25ng/mlから約75ng/mlの範囲のGM-CSF。] [0078] さらに他の態様において、本発明は、pPS細胞をimDCに分化させる方法であって、pPS細胞を下記を含む分化カクテルと接触させる段階を含む方法を提供する:1)約10ng/mlから約75ng/mlの範囲のBMP-4;2)約25ng/mlから約75ng/mlの範囲のVEGF;3)約5ng/mlから約50ng/mlの範囲のSCF;および4)約25ng/mlから約75ng/mlの範囲のGM-CSF。] [0079] さらなる態様において、本発明は、骨髄系前駆細胞集団を富化する方法であって、CD45+ Hi細胞集団およびCD45+ low細胞集団を含む細胞培養物からCD45+ Hi集団を単離する段階を含む方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、顆粒球前駆細胞を単離する方法であって、CD45+ Hi細胞集団およびCD45+ low細胞集団を含む細胞培養物からCD45+ low集団を単離する段階を含む方法を提供する。Highおよびlowは相対的な用語である。したがって、当技術分野において公知の任意の検定、例えば、蛍光検出器、例えば、蛍光標示式細胞分取器(FACS)を用いて測定する免疫蛍光を用いて測定して、CD45+ low細胞集団は、背景よりも約1〜2桁上のCD45発現を有する細胞を意味する一方で、CD45+ Hi細胞は背景よりも2桁を越えて高いCD45発現を有する細胞を意味する。標的細胞集団の単離は、当技術分野において公知の任意の手段を用いて行いうる。例えば、細胞集団を市販の(FACS)を用いて単離してもよい。いくつかの態様において、細胞を標識リガンドで染色したマーカーの蛍光強度に基づき単離してもよい。標識リガンドは細胞に直接連結してもよく、またはヒトの手により細胞に連結した別のリガンドによって細胞に間接的に連結してもよい。細胞集団は、細胞分取器の前方および側方散乱に基づくサイズおよび密度に基づいて単離してもよい。例として、CD45+ HiおよびCD45+ low集団を、サイズおよび粒度に基づき、細胞分取器を用いて分離してもよい。] [0080] 本発明の様々な態様を実施する際に有用なサイトカインの組み合わせを、所望の効果を得るための任意の適当な最終作業濃度で用いてもよい。例えば、BMP-4を約1ng/mlから約120ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約10ng/mlから約80ng/ml;約25ng/mlから約75ng/ml;約30ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約50ng/mlのBMP-4を用いてもよい。VEGFを約1ng/mlから約120ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約20ng/mlから約80ng/ml;約25ng/mlから約75ng/ml;約30ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約50ng/mlのVEGFを用いてもよい。GM-CSFを約1ng/mlから約120ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約20ng/mlから約80ng/ml;約25ng/mlから約75ng/ml;約30ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約50ng/mlのGM-CSFを用いてもよい。SCFを約1ng/mlから約350ng/ml;約5ng/mlから約300ng/ml;約10ng/mlから約250ng/ml;約15ng/mlから約200ng/ml;約20ng/mlから約150ng/ml;約5ng/mlから約50ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約20ng/mlのSCFを用いてもよい。FLT3Lを約1ng/mlから約350ng/ml;約5ng/mlから約300ng/ml;約10ng/mlから約250ng/ml;約15ng/mlから約200ng/ml;約20ng/mlから約150ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約20ng/mlのFLT3Lを用いてもよい。IL-3を約1ng/mlから約80ng/ml;約5ng/mlから約75ng/ml;約10ng/mlから約50ng/ml;約20ng/mlから約40ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約25ng/mlのIL-3を用いてもよい。TPOを約1ng/mlから約150ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約10ng/mlから約80ng/ml;約20ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約20ng/mlのTPOを用いてもよい。IL-4を約1ng/mlから約120ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約20ng/mlから約80ng/ml;約25ng/mlから約75ng/ml;約30ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約50ng/mlのIL-4を用いてもよい。] [0081] 本発明のいくつかの態様において、複数のサイトカインを含む成熟カクテルを用いて、imDCをmDCに成熟させてもよい。成熟カクテルのサイトカイン成分の適当な最終作業濃度には、imDCをmDCに有効に成熟させる任意の濃度が含まれうる。例えば、IFNγを約1ng/mlから約150ng/ml;約5ng/mlから約100ng/ml;約10ng/mlから約100ng/ml;約15ng/mlから約80ng/ml;約20ng/mlから約60ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約25ng/mlのIFNγを用いてもよい。本発明の他の態様において、約10ng/mlのIFNγを用いてもよい。本発明の他の態様において、約5ng/mlのIFNγを用いてもよい。TNFαを約1ng/mlから約200ng/ml;約10ng/mlから約150ng/ml;約20ng/mlから約100ng/ml;約30ng/mlから約80ng/ml;約40ng/mlから約75ng/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約10ng/mlのTNFαを用いてもよい。IL-1βを約1ng/mlから約200ng/ml、約5ng/mlから約150ng/ml;約8ng/mlから約75ng/ml;約10ng/mlから約50ng/mの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約10ng/mlのIL-1βを用いてもよい。PGE2を約0.1ug/mlから約150ug/ml;約0.5ug/mlから約100ug/ml;約0.8ug/mlから約75ug/ml;約1ug/mlから約50ug/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約1ug/mlのPGE2を用いてもよい。Poly I:Cを約1ug/mlから約50ug/ml、約5ug/mlから約40ug/ml 約10ug/mlから約30ug/ml、約15ug/mlから約25ug/mlの範囲の濃度で用いてもよい。本発明のいくつかの態様において、約20ug/mlのPoly I:Cを用いてもよい。] [0082] 特定の態様において、本発明は、造血系統細胞中のpPS細胞の分化を提供し、ここで細胞の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%が、造血系統の細胞によって発現される1つまたは複数のマーカーを発現する。] [0083] 霊長類多能性幹細胞およびそれらの分化子孫を含む細胞培養物 特定の態様において、本発明は、pPS細胞を含む第一の細胞集団ならびに造血系統細胞および/または中胚葉細胞を含む第二の細胞集団を含む細胞培養物を提供する。造血系統細胞および/または中胚葉細胞は、pPS細胞の標的細胞型、例えば、中胚葉細胞、骨髄系前駆細胞、単球、樹状細胞などへの分化に有利な特異的増殖条件の結果として、培養物中に生じうる。増殖条件には、1つまたは複数の分化カクテル(以下に記載)およびいくつかの態様においては成熟カクテル(以下に記載)を提供することが含まれうる。細胞培養物は下記の1つまたは複数を含まなくてもよい:フィーダー細胞、ストローマ細胞、動物血清および/またはB27などの市販の血清代替品、ならびに外因性IL-3。] [0084] いくつかの態様において、第二の細胞集団は中胚葉細胞を含んでいてもよい。発生中の胚の中胚葉は外胚葉と内胚葉との間に位置する。結合組織、骨、軟骨、筋肉、造血系統細胞、血液および血管、リンパ管、リンパ様器官、脊索、胸膜、心膜、腹膜、腎臓ならびに性腺はすべて中胚葉に由来する。中胚葉細胞は、転写因子ブラキュリの発現を含む様々なマーカーを発現しうる。ブラキュリの発現レベルは、中胚葉細胞への分化前のpPS細胞と比べると、約3から6倍増大しうる。中胚葉の他のマーカーにはグースコイドが含まれうる。グースコイドはタンパク質のペアード(PRD)ホメオボックスファミリーのビコイドサブファミリーのメンバーである。コードされるタンパク質は転写因子として作用し、自己調節的でありうる。] [0085] 他の態様において、造血系統細胞は血管芽細胞を含んでいてもよい。血管芽細胞は様々な型のリンパ様細胞、様々な型の骨髄細胞、ならびに内皮細胞にさらに分化する能力を有する。血管芽細胞はCD34およびCD133を発現しうる。Loges et al., (2004). Stem Cells and Development 13 (1): 229。血管芽細胞の他のマーカーには、キナーゼインサートドメイン受容体であるFlk-1が含まれる。] [0086] さらに他の態様において、造血系統細胞は造血幹細胞を含んでいてもよい。造血幹細胞は、リンパ様細胞(その子孫にはT細胞およびBリンパ球が含まれる)および骨髄細胞(その子孫には様々な型の顆粒球、単球、マクロファージ、DC、巨核球、血小板、赤芽球、および赤血球が含まれる)を含む、血中で見られる任意の細胞型に分化することができると考えられる。骨髄幹細胞のマーカーには、CD34+、CD59+、Thy1/CD90+、CD38lo/-、C-kit/CD117-/loが含まれうる。本発明の特定の態様において、造血幹細胞に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、約1%から約20%、約5%から約17%、約10%から約15%の範囲である。本発明のいくつかの態様において、細胞培養物中の細胞の約15%が造血幹細胞に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する。] [0087] さらなる態様において、造血系統細胞は骨髄系共通前駆細胞を含んでいてもよい。骨髄系前駆細胞は、適当な増殖条件下で、顆粒球、単球、マクロファージ、DC、巨核球/赤血球前駆細胞を含む様々な骨髄細胞に分化しうる。骨髄系前駆細胞のマーカーには、CD13、CD34、IL-3Rα(CD123)、およびCD45RAが含まれうる。本発明の特定の態様において、骨髄系前駆細胞に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、約1%から約50%、約5%から約45%、約6%から約38%の範囲である。本発明のいくつかの態様において、細胞培養物中の細胞の約35%が骨髄系前駆細胞に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する。] [0088] さらに他の態様において、造血系統細胞は顆粒単球前駆細胞を含んでいてもよい。顆粒単球前駆細胞は、適当な増殖条件下で、顆粒球、単球、マクロファージ、およびDCに分化しうる。顆粒単球前駆細胞のマーカーには、CD64が含まれうる(EP0708336)。] [0089] さらなる態様において、造血系統細胞は単球を含んでいてもよい。適当な増殖条件下で、単球はDC、マクロファージおよび顆粒球細胞に分化しうる。単球のマーカーには、CD14、CD45hi、CD11a、CD11b、およびCD15が含まれうる。単球の形態には、大きい二葉核の存在が含まれうる。本発明の特定の態様において、単球に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、約1%から約75%、約5%から約70%、約10%から約65%の範囲である。本発明のいくつかの態様において、細胞培養物中の細胞の約65%が単球に関連する少なくとも1つのマーカーを発現する。] [0090] さらなる態様において、造血系統細胞はimDCを含んでいてもよい。imDCは抗原を取り込み、処理する能力を有する。適当な増殖条件下で、imDCは成熟を起こして、免疫学的に適格な細胞に抗原を提示するのに適したmDCとなりうる。imDCのマーカーには、CD11chi、CD11b、MHCI、MHC II lo 、CD14-/lo、CD205-、およびCD83loが含まれうる。本発明の特定の態様において、imDCに関連する少なくとも1つのマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、約10%から約99%、約20%から約99%の範囲である。本発明の特定の態様において、細胞培養物中の細胞の少なくとも約90%、約80% 約70%、約60%、約50% 約40% 約30%、約20% 約10%がimDCに関連する少なくとも1つのマーカーを発現する。] [0091] さらに他の態様において、造血系統細胞はmDCを含んでいてもよい。mDCは適当な刺激、例えば、MIP3βに応答して遊走し、Tリンパ球などの免疫学的に適格な細胞に抗原を提示する能力を有しうる。mDCは、細胞から発出する分岐した突出物または樹状突起の存在を含む、特有の形態を有しうる。mDCのマーカーには、CD83、CCR7、CD11chi、CD205、CD86、CD40、MHCI、MHC IIおよびCD14-が含まれうる。本発明の特定の態様において、mDCに関連する少なくとも1つのマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、約10%から約99%、約20%から約99%の範囲である。本発明の特定の態様において、細胞培養物中の細胞の少なくとも約90%、約80% 約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%がmDCに関連する少なくとも1つのマーカーを発現する。] [0092] 組織特異的マーカーを、例えば、細胞表面マーカーのためのフローイムノサイトメトリーまたは親和性吸着、細胞内または細胞表面マーカーのための免疫細胞化学(例えば、固定細胞または組織切片の)、細胞抽出物のウェスタンブロット分析、および細胞抽出物または培地中に分泌された生成物のための酵素結合免疫検定などの、適当な免疫学的技術を用いて検出してもよい。細胞による抗原の発現は、標準の免疫細胞化学またはフローサイトメトリー検定において、任意に細胞の固定後、および任意に標識した二次抗体を用いて、抗体の有意に検出可能な量が抗原に結合するであろう場合、抗体検出可能と言う。] [0093] 組織特異的遺伝子産物の発現は、ノーザンブロット分析、ドットブロットハイブリダイゼーション分析、または公に入手可能な配列データ(GenBank)を用いる標準的増幅方法での配列特異的プライマーを用いる逆転写酵素によるポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によってmRNAレベルで検出してもよい。タンパク質またはmRNAレベルで検出される組織特異的マーカーの発現は、レベルが未分化の霊長類多能性幹細胞のものよりも少なくとも約2倍、約10倍または約50倍を越えて高い場合に陽性と考えられる。] [0094] 組織特異的遺伝子産物の発現は、ノーザンブロット分析、ドットブロットハイブリダイゼーション分析、または標準的増幅方法での配列特異的プライマーを用いる逆転写酵素によるポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によってmRNAレベルで検出してもよい。さらなる詳細については米国特許第5,843,780号を参照されたい。本開示において挙げる特定のマーカーの配列データはGenBankなどの公のデータベースから入手することができる。mRNAレベルでの発現は、典型的な対照実験で標準的手順に従って細胞試料の検定を実施した場合に、明らかに識別しうるハイブリダイゼーションまたは増幅産物が得られれば、本開示において記載する検定の1つに従い「検出可能」と言う。タンパク質またはmRNAレベルで検出される組織特異的マーカーの発現は、レベルが未分化の霊長類多能性幹細胞のものよりも少なくとも約2倍、約10倍または約50倍を越えて高い場合に陽性と考えられる。] [0095] 所望の表現型の細胞表面上でマーカーをいったん同定すれば、イムノパニングまたは抗体によるFACSなどの技術により集団をさらに富化するための免疫的選択のためにこれらを用いることができる。] [0096] pPS細胞から分化したDCの放射線照射 本発明は、インビトロでpPS細胞から分化した、すなわちpPS細胞のインビトロ子孫である、mDCまたはimDCを含む細胞集団を放射線照射する方法、ならびにインビトロでpPS細胞から分化したmDCまたはimDCを含む、放射線照射した細胞培養物を企図する。本発明の他の態様は、放射線照射した免疫調節製剤およびこれを作成する方法、ならびにmDCを含む放射線照射した細胞集団を用いて免疫応答を刺激する方法を企図する。本発明のさらに他の態様は、放射線照射したmDCを含むキットを企図する。] [0097] pPS細胞から分化したmDCを放射線照射することで、任意のさらなる細胞分裂を阻害し、それにより、mDCに十分に分化していない細胞(例えば、pPS細胞)によって生じる、奇形腫の形成などの任意のリスクを低減する。放射線照射したmDCは、PBMC由来DCなどの非放射線照射DCに関連する機能的特性を維持することもあり、したがって放射線照射mDCは抗原を処理し、免疫学的に適格な細胞に提示して、その細胞を提示した抗原に応答させることが可能でありうる。放射線照射mDCは、走化性刺激に応答して遊走する能力も維持しうる。さらに、放射線照射mDCは、例えば、PBMC由来mDC上で典型的に見られるマーカーを発現し続けることもある。これらのマーカーにはHLA-II、HLA-I、およびCD83が含まれうる。本発明のmDCを、放射線源への曝露前に、抗原または抗原をコードする核酸と接触させてもよい。] [0098] いくつかの態様において、mDCを抗原、例えば、タンパク質またはペプチドと接触させ、次いで放射線照射してもよい。他の態様において、mDCをRNA分子などの核酸と、電気穿孔または任意の他の適当なトランスフェクション手段を用いて接触させ、次いで放射線照射してもよい。いくつかの態様において、細胞を核酸と接触させ、次いで約24時間(例えば、37℃および5%CO2で)放置してもよい。次いで、細胞を適当な寒冷培地(例えば、DMSOを含むもの)に置き、次いで約-80℃で凍結してもよい。次いで、凍結細胞を放射線照射し(例えば、ドライアイス上で)、さらなる使用が必要になるまで凍結状態で保存(例えば、液体窒素中で)してもよい。] [0099] 任意の適当な放射線源を用いて、本発明のmDCを放射線照射してもよい。一つの態様において、放射線源は電離放射線源でありうる。一例として、X線は適当な放射線源を提供しうる。適当でありうる他の型の放射線には、UV照射、例えば、ガンマ線照射が含まれる。] [0100] インビトロでpPS細胞から分化したmDCを含む細胞集団を、適当な期間、例えば、細胞分裂が阻害されるように放射線照射してもよい。放射線量、細胞集団サイズおよび曝露時間などのパラメーターを経験的に最適化し、次いで放射線照射後の細胞を培養し、細胞が分裂を続けるかどうかを判定することによって試験してもよい。細胞分裂の判定は、血球計数器を用いて手動で細胞を計数することにより行ってもよい。または、自動細胞計数器を用いてもよい。] [0101] 放射線源がX線である場合、適当な放射線量は約300radから約3500rad;約400radから約3000rad;約500radから約2500rad;約500radから約2000rad;約400radから約1500radの範囲でありうる。一つの態様において、約2000radをmDCを含む細胞集団に適用する。もう一つの態様において、約1500radをmDCを含む細胞集団に適用する。さらなる態様において、約1000radをmDCを含む細胞集団に適用する。さらにもう一つの態様において、約500radをmDCを含む細胞集団に適用する。] [0102] 放射線源がUV線照射である場合、適当な線量は約10J/m2から約3,000J/m2;約20J/m2から約2,000J/m2;約25J/m2から約1,500J/m2;約30J/m2から約500J/m2;約50J/m2から約200J/m2の範囲でありうる。いくつかの態様において、約50J/m2を用いてもよい。他の態様において、約100J/m2を用いてもよい。他の態様において、約200J/m2を用いてもよい。さらに他の態様において、約300J/m2を用いてもよい。さらに他の態様において、約500J/m2を用いてもよい。] [0103] 放射線源がX線である場合、細胞を放射線源への曝露前に適当な培地または緩衝液に懸濁してもよい。適当な培地には、幹細胞を増殖または分化させるための任意の市販の培地が含まれるであろう。一例として、AIMV培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてもよい。適当な緩衝液には任意の等張緩衝液、例えば、PBSが含まれうる。用いる培地の量は、放射線照射する細胞集団のサイズに依存することになる。約3.0×105から約4.0×105の範囲の細胞集団のために、適当な量は培地または緩衝液約5〜20mlの範囲でありうる。一つの態様において、約15mlの培地または緩衝液を用いてもよい。] [0104] 放射線源がUV光線である場合、細胞を組織培養フラスコなどの基体に接着させて増殖させ、放射線源に曝露してもよい。放射線への曝露の間、細胞を適当な緩衝液または培地中で維持してもよい。] [0105] 一つの態様において、約3.0×105細胞から約4.0×105細胞の範囲の細胞集団を、X線源からの約2000radで照射する。もう一つの態様において、約3.0×105細胞から約4.0×105細胞の範囲の細胞集団をX線源からの約1500radで照射する。さらにもう一つの態様において、約3.0×105細胞から約4.0×105細胞の範囲の細胞集団をX線源からの約1000radで照射する。さらにもう一つの態様において、約3.0×105細胞から約4.0×105細胞の範囲の細胞集団をX線源からの約500radで照射する。細胞はインビトロでpPS細胞から分化したmDCで構成されていてもよい。] [0106] 細胞分裂を阻害するのに適した化学物質を放射線源の代わりに用いることも企図される。したがって、インビトロでpPS細胞から分化したmDCを含む細胞集団を、細胞分裂を阻害するのに適した化学物質と接触させてもよい。適当な化学物質の例には、マイトマイシンCおよびシスプラチンンなどの化学療法剤が含まれる。他の適当な化学物質には、下記の1つまたは複数が含まれうる:アラビノシド、フルオロ-デオキシウリジンおよびウリジン。] [0107] 樹状細胞を産生するためのシステム 特定の態様において、本発明は、成熟樹状細胞のインビトロ産生のためのシステムであって、a)pPS細胞を含む第一の単離細胞集団、およびb)第一の細胞集団の一部のインビトロ子孫である、成熟樹状細胞を含む第二の単離細胞集団を含むシステムを企図する。] [0108] 他の態様において、本発明は、有糸分裂不活性の抗原提示細胞を産生するためのシステムであって、a)pPS細胞を含む第一の単離細胞集団、およびb)第一の単離細胞集団の一部のインビトロ子孫である、有糸分裂を不活化した成熟樹状細胞を含む第二の単離細胞集団を含むシステムを企図する。] [0109] mDCをインビトロでpPS細胞の一部から分化させてもよく、pPS細胞を含む第一の単離細胞集団の一部は予備に取っておき、インビトロで第一の細胞集団を分化させることによってさらに第二の単離集団を作成することもできる。システムは、pPS細胞を含む第一の細胞集団には、本明細書に記載の方法を用いてDCに分化させうる集団の一部、および将来用いるために取っておいてもよい、例えば、未分化状態で培養物中に維持してもよい、または一定量で凍結(適当な培地中)し、-80℃もしくは液体窒素中で保存してもよい集団の一部が含まれうることを企図する。pPS細胞は培養中、未分化(多能性)の状態でいつまでも複製可能であるため、システムは本明細書に記載の方法に従い、分化したDCの無期限の供給を行う手段を提供する。さらに、DC、例えば、インビトロでpPS細胞から分化したimDCも培養中で複製しうるため、システムはさらなるDCを産生可能な第二の集団を提供する。したがって、システムは、大量のDCなどの均一な生成物を継続的に産生する手段を提供する。システムは、1つまたは両方の集団が以下に記載するとおり有糸分裂を不活化されている態様も含みうる。] [0110] pPS細胞を含む第一の細胞集団およびDC細胞を含む第二の細胞集団の両方の特徴的マーカーおよび形態を本明細書に記載する。DC細胞は関心対象の抗原、例えば、hTERTなどの腫瘍抗原を搭載したmDCであってもよい。DC細胞を本発明に従い放射線照射して、細胞の有糸分裂を不活化し、したがってDCを含む第二の細胞集団中に存在しうるpPS細胞の任意の可能性あるリスクを低減してもよい。特定の態様において、mDCの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%がCD83、CD86、MHCIIおよびCCR7から選択される1つまたは複数のマーカーを発現しうる。] [0111] キット 特定の態様において、本発明は、免疫応答を刺激するためのキットを提供する。一つの態様において、キットはpPS細胞およびDCを含む細胞培養物、ならびに1つまたは複数の容器を含む。任意に、キットは下記の1つまたは複数を含んでいてもよい:a)免疫応答を刺激するための説明書;b)DCを培養するための説明書;c)提供されるDCがimDCである場合、成熟カクテル;c)1つまたは複数の適当な培養容器;d)免疫応答を刺激するための1つまたは複数の抗原;e)1つまたは複数の免疫学的に適格な細胞;およびf)刺激された免疫応答を測定するのに適した試薬。キットは免疫応答をインビトロまたはインビボで刺激するために用いうる。DCはimDCまたはmDCでありうる。いくつかの態様において、DCを凍結して提供してもよい。細胞を液体窒素中で凍結し、約-140℃で保存してもよい。または、DCを包装し、冷蔵、例えば、約4℃で保存してもよい。成熟カクテルは、あらかじめ混合して、またはその各成分を別々に包装して供給してもよい。抗原はタンパク質もしくはペプチドとして、または抗原をコードする核酸、例えば、DNA、RNAとして提供してもよい。キットはDCに抗原を搭載するための説明書も提供しうる。搭載とは、DCを抗原と、抗原が免疫学的に適格な細胞に提示されるように接触させることを意味する。キットは、培養中でDCを増殖させるため、DCを抗原と接触させるため、DCを免疫学的に適格な細胞と接触させるための説明書をさらに含んでいてもよい。刺激された免疫応答を検出するのに適した試薬には、細胞増殖を測定するための3Hチミジン、抗原に対する免疫応答中に分泌される、IL-2、IFNなどのサイトカインに対する抗体が含まれうる。] [0112] もう一つの態様において、キットはインビトロでpPS細胞から分化した、放射線照射したmDCおよび1つまたは複数の容器を含んでいてもよい。任意に、キットは下記の1つまたは複数を含んでいてもよい:a)免疫応答を刺激するための説明書;b)免疫応答を刺激するための1つまたは複数のあらかじめ搭載された抗原;c)1つまたは複数の免疫学的に適格な細胞;およびd)刺激された免疫応答を測定するのに適した試薬。キットは免疫応答をインビトロまたはインビボで刺激するために用いうる。あらかじめ搭載された抗原はタンパク質もしくはペプチドとして、または抗原をコードする核酸、例えば、DNA、RNAとして提供してもよい。搭載とは、DCを抗原と、抗原が免疫学的に適格な細胞に提示されるように接触させることを意味する。刺激された免疫応答を検出するのに適した試薬には、細胞増殖を測定するための3Hチミジン、抗原に対する免疫応答中に分泌される、IL-2、IFNなどのサイトカインに対する抗体が含まれうる。他の態様において、本発明は、化学的に処理したmDCを放射線照射したmDCの代わりに用いうる、前述のキットを提供する。化学的に処理したmDCは、細胞分裂を阻害するのに適した化学物質と接触させたmDCでありうる。適当な化学物質には、マイトマイシンCなどのマイトマイシンが含まれうる。] [0113] ES分化造血系統細胞の使用 本発明は、多数の造血および/または中胚葉系統の細胞を産生する方法を提供する。これらの細胞集団はいくつかの重要な研究、開発、および商業的目的のために用いることができる。] [0114] スクリーニング 本発明の細胞を、そのような細胞およびそれらの様々な子孫の特徴に影響をおよぼす、因子(溶媒、低分子薬、ペプチド、オリゴヌクレオチドなど)または環境条件(培養条件または操作など)をスクリーニングするために商業的に用いることができる。特徴には、細胞の表現型または機能的形質が含まれうる。] [0115] いくつかの適用において、pPS細胞(未分化または分化)を用いて、後期造血系前駆細胞、もしくは最終分化細胞への成熟を促進する因子をスクリーニングする、または長期培養においてそのような細胞の増殖および維持を促進する。例えば、候補成熟因子または増殖因子を、それらを異なるウェルの細胞に加え、次いでさらなる培養および細胞の使用のために望ましい基準に従い、生じる任意の表現型変化を判定することにより試験する。] [0116] 本発明の他のスクリーニング適用は、薬学的化合物のその造血系統細胞および/または中胚葉細胞に対する効果についての試験に関する。スクリーニングは、化合物が細胞において薬理効果を有するよう設計されるため、または他所で効果を有するように設計された化合物がこの組織型の細胞において意図しない副作用を有するためのいずれかにより行いうる。他のスクリーニング適用には、癌原性または他の毒性作用について化合物をスクリーニングすることが含まれうる。スクリーニングは、標的化合物が標的細胞において有益または有害な作用を有するかどうかを調べるために、本発明の前駆細胞または最終分化細胞のいずれを用いても実施することができる。] [0117] 読者は一般に標準の教科書であるIn vitro Methodsin Pharmaceutical Research, Academic Press, 1997を参照されたい。候補薬学的化合物の活性の評価は一般に、本発明の細胞を候補化合物と、単独または他の薬物との組み合わせのいずれかで合わせることを含む。研究者は、化合物に起因しうる細胞の形態、マーカー表現型、または機能的活性における任意の変化(未処理の細胞または不活性化合物で処理した細胞と比べて)を判定し、次いで化合物の効果を観察された変化と相関づける。] [0118] 細胞毒性を、細胞の生存度、生存、形態、ならびに特定のマーカーおよび受容体の発現に対する効果により、第一に判定することができる。染色体DNAに対する薬物の効果を、DNA合成または修復を測定することにより判定することができる。特に細胞周期の計画されていない時点での、または細胞複製に必要とされるよりも高いレベルの、[3H]-チミジンまたはBrdU取り込みは薬物効果と一致する。望ましくない作用には、中期延長により判定される、姉妹染色分体交換の異常な割合が含まれうる。読者は、さらなる生産のために、A. Vickers(pp 375-410 in In vitro Methodsin Pharmaceutical Research, Academic Press, 1997)を参照されたい。] [0119] 効果が観察される場合、化合物の濃度を滴定して、有効用量中央値(ED50)を求めることができる。] [0120] 免疫応答の調節 特定の態様において、本発明は、抗原に対する免疫応答を刺激する方法であって、本発明の細胞、例えば、pPS細胞から分化したDCを抗原と接触させる段階を含む方法を提供する。抗原はタンパク質もしくはペプチドで構成されてもよく、または核酸、例えば、DNA、RNAで構成されてもよい。抗原がタンパク質またはペプチドである場合、樹状細胞はタンパク質またはペプチドを取り込み、それをMHCに関連して提示するために処理することになる。典型的に、処理には、抗原がMHCの溝に合うように、タンパク質分解が含まれる。抗原がタンパク質である場合、DC細胞はimDCであってもよい。抗原が全長タンパク質のペプチド断片である場合、DCはmDCであってもよい。抗原が核酸である場合、本発明は、核酸を細胞質中に送達するために、細胞膜を通過して核酸を輸送する当技術分野において公知の任意の手段を用いることを企図する。一つの態様において、細胞を電気穿孔して、核酸に細胞膜を通過させてもよい。細胞を抗原と接触させるために電気穿孔法を用いる態様において、適当な細胞はimDCかもしれない。また、細胞を抗原と接触させるために電気穿孔法を用いる他の態様において、適当な細胞はmDCかもしれない。細胞を、Gene Pulse Xcell(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を下記のパラメーターで用いて電気穿孔してもよい:300V、150uF、および100オーム。タンパク質発現レベルを、フローサイトメトリーまたはウェスタンブロット法によって判定してもよい。電気穿孔した細胞がimDCである場合、imDCがmDCに成熟するように、細胞を本明細書に記載の成熟カクテルと接触させてもよい。] [0121] もう一つの態様において、ウイルスベクターを用いて、抗原をコードする核酸を細胞、例えば、mDC、imDCに輸送してもよい。細胞を抗原と接触させるためにウイルスベクターを用いる場合、適当な細胞はimDCでありうる。適当なウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクターおよびポックスウイルスベクターが含まれる。他の態様において、市販のトランスフェクション試薬を用いて、抗原をコードする核酸を細胞に輸送してもよい。適当な例には、Lipofectamine(登録商標)などのカチオン脂質製剤が含まれる。] [0122] 本発明は、任意の源からの抗原を用いることを企図する。したがって、抗原はヒトテレオメラーゼ逆転写酵素(hTERT)などの腫瘍抗原またはウイルス、細菌、もしくは寄生虫などの感染因子によって発現される抗原であってもよい。] [0123] 次いで、mDCをインビボまたはインビトロのいずれかでリンパ球などの免疫学的に適格な細胞と接触させてもよい。リンパ球の免疫応答を、免疫学的に適格な細胞の細胞増殖(例えば、3Hチミジン取り込みにより)および/またはmDCもしくは免疫学的に適格な細胞のいずれかによるサイトカイン産生(例えば、IL-2、IFN、IL-6、IL-12)を測定することによりモニターしてもよい。これらの試験は、抗原に対する免疫応答の型および程度を調整する際に有用でありうる。これらの試験は、最適な免疫応答を誘発するための抗原の最良のエピトープを選択する際にも有用でありうる。免疫応答は、適当な動物モデルを用いて、インビトロまたはインビボで刺激してもよい。] [0124] 治療的投与のための細胞組成物の適性を判定するために、細胞をまず適当な動物モデルにおいて試験することができる。適当な動物モデルには、ヒト化免疫系を有するマウスが含まれうる。例えば、Goldstein (2008)AIDS Res Ther 5(1):3参照。特異抗原により初回抗原刺激したmDCを動物に投与して、動物が抗原に対する特異的免疫応答を開始しうるかどうかを調べてもよい。動物およびDCはMHCI遺伝子座で適合または部分適合してもよい。抗原の、および細胞の用量、投与、および製剤を試験して抗原に対する免疫応答を調整し、リンパ系内の投与した細胞の遊走をモニターしてもよい。免疫応答の程度を、抗原に応答してのサイトカイン産生ならびにリンパ球増殖に関して特徴づけてもよい。動物を抗原に対する抗体応答ならびに任意の非定型的免疫反応、例えば、過敏性、自己免疫反応についてモニターしてもよい。生成した抗体を、研究試薬または治療薬として用いるために単離してもよい。] [0125] imDCは抗原特異的耐容性を誘導することが公知で、例えば、Cools et al., (2007)J Leukoc Biol 82(6):1365を参照されたい。したがって、imDCは、本明細書に記載のとおり、被験者において耐容性を誘導するために用いてもよい。imDC細胞を、前述のとおり、抗原、例えば、タンパク質もしくはペプチド抗原、または抗原をコードする核酸と接触させてもよい。次いで、細胞を被験者に投与して、被験者における耐容性を誘導してもよい。または、imDCをmDCに成熟させ、免疫応答を刺激するために用いてもよい。] [0126] 造血細胞の再構成 本発明に従って作成した造血系統細胞を用いて、被験者において1つまたは複数の造血細胞集団を再構成してもよい。一例として、骨髄系前駆細胞を用いて、欠乏している細胞集団を再構成することにより、血球減少に関連する1つまたは複数の症状を改善してもよい。例えば、骨髄系前駆細胞を用いて、低血小板数、または低赤血球数の被験者の状態を改善してもよい。もう一つの例として、骨髄系前駆細胞などの造血系統細胞を用いて、凝固因子に関連する異常などの、遺伝的異常を有する被験者の1つまたは複数の症状を改善してもよい。したがって、本発明のいくつかの態様に従って作成した細胞を用いて、第VIII因子または第IX因子などの凝固因子のレベルを高めてもよい。他の態様において、造血系統細胞を用いて、HIV患者においてリンパ球集団、例えば、CD4リンパ球集団を再構成してもよい。] [0127] ヒトへの投与 本発明に従って産生したmDCはPBMCから単離したmDCに機能的に匹敵する。例えば、本発明のmDCは抗原を取り込み、処理して提示し;特異抗原の提示に応答してT細胞増殖を刺激し、かつ抗原特異的T細胞が仲介する標的細胞の細胞溶解を誘導することができる。加えて、本発明のmDCの機能は放射線照射後でも維持される。したがって、本発明のmDCは特異抗原に対する免疫応答を刺激するためにヒト被験者に投与するためのDC源を提供する一方で、未分化細胞および病原性物質への曝露のリスクを最小限にとどめうる。] [0128] 本発明のmDCを、ヒト被験者の免疫応答を刺激するために被験者に投与してもよい。投与前に、imDCを関心対象の抗原と接触させ、次いでmDCに成熟させてもよい。抗原を内部に取り込み、MHCIおよび/またはMHC IIに関連して細胞表面上で提示されるように処理してもよく、したがって抗原に対する特異的な免疫応答を刺激してもよい。いくつかの態様において、特異的免疫応答は治療効果を有しうる。他の態様において、免疫応答は予防効果を提供しうる。さらに他の態様において、特異的免疫応答は細胞毒性T細胞などの抗原特異的細胞、または抗原を特異的に認識するBリンパ球もしくは抗体の源を提供しうる。本発明の細胞の投与は、静脈内、皮内または筋肉内注射によるものであってもよい。他の態様において、細胞を皮下投与してもよい。細胞をPBSなどの適当な緩衝液および/または適当な賦形剤と共に製剤してもよい。細胞を適当な補助剤と共に製剤してもよい。適当な薬学的担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences by E.W. Martin 20th Edition. Baltimore, MD: Lippincott Williams & Wilkins, 2000に記載されている。] [0129] 薬物製剤における一般的原理について、読者はCell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, by G. Morstyn & W. Sheridan eds, Cambridge University Press, 1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy, E.D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000を参照されたい。細胞性賦形剤および組成物の任意の付随する要素の選択は、投与に用いる経路および器具に従って適応させることになる。] [0130] 本発明の薬学的組成物は任意に、疾患状態を改善するため、または免疫応答を刺激するための造血系統細胞機能の再構成などの、所望の目的についての説明書と共に、適当な容器中に包装してもよい。] [0131] 他の使用 本発明の細胞を、他の系統からの細胞中で優先的に発現されるcDNAが比較的混入していないcDNAライブラリを調製するために用いてもよい。例えば、造血系統細胞を1000rpm、5分間の遠心により回収し、次いでmRNAを調製し、逆転写する。造血系統細胞の発現パターンを他の細胞型、例えば、pPS細胞と、Fritz et al., (2000)Science 288:316により総説が発表されているマイクロアレイ分析により比較してもよい。細胞は実質的に、それらが分化した元の親pPS細胞株と遺伝的に同一であるため、造血系統細胞の分化および成熟に関与する遺伝子を調べるために特に適した系を提供する。例えば、親細胞株および造血系子孫からの核酸ライブラリを調製し、差引きハイブリダイゼーションを用いて子孫細胞の分化および成熟において重要な遺伝子を単離してもよい。] [0132] 本発明の分化細胞を用いて、造血系統細胞のマーカーに特異的な抗体を調製することもできる。ポリクローナル抗体を、脊椎動物に免疫原性型の本発明の細胞を注射することにより調製することができる。モノクローナル抗体の産生は、Harlow & Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual、米国特許第4,491,632号、第4,472,500号および第4,444,887号、ならびにMethodsin Enzymology 73B:3 (1981)などの標準の参照文献において記載されている。] [0133] 霊長類多能性幹細胞 本発明は、pPS細胞を造血系統細胞に分化させる方法を提供する。pPS細胞には任意の霊長類多能性細胞が含まれる。多能性細胞は、適当な増殖条件下で、中胚葉、内胚葉および外胚葉の3つの一次胚葉それぞれから少なくとも1つの細胞型を生成することができる。pPS細胞は前胚、胚もしくは胎児組織または成熟分化細胞から生じうる。または、樹立pPS細胞株は本発明を実施するのに適した細胞源でありうる。典型的には、pPS細胞は悪性の源由来ではない。pPS細胞は、免疫不全マウス、例えば、SCIDマウスに移植すると、奇形腫を形成することになる。] [0134] 鏡検下で、霊長類多能性幹細胞は高い核/細胞質比、顕著な核小体、および細胞間結合が識別しがたい密なコロニー形成を示す。霊長類多能性幹細胞は典型的に、ステージ特異的胚抗原(SSEA)3および4、ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する。未分化ヒト胚性幹細胞も典型的に、転写因子Oct-3/4、Cripto、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体、ポドカリキシン様タンパク質(PODXL)、ナノグおよびRT-PCRにより検出されたテロメラーゼ逆転写酵素、例えば、hTERT(US 2003/0224411 A1)を発現する。] [0135] 本発明の任意の態様において用いうるpPS細胞には、ヒト胚性幹細胞(hES)などの胚性幹細胞が含まれるが、それらに限定されるわけではない。胚性幹細胞は霊長類の胚盤胞から単離することができる(米国特許第5,843,780号;Thomson et al.,(1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7844,)。hES細胞は、例えば、米国特許第6,200,806号;Thomson et al., (1998) Science 282:1145;Thomson et al. (1998) Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff.およびReubinoff et al., (2000) Nature Biotech. 18:399に記載の技術を用いて、ヒト胚盤胞から調製することができる。] [0136] 他の霊長類多能性幹細胞型には、国際公開公報第01/51610号に記載の原始外胚葉様(EPL)細胞およびヒト胚葉(hEG)細胞(Shamblott et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:13726)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。] [0137] 本発明の任意の態様において用いるのに適したpPS細胞には、人工霊長類多能性幹(iPS)細胞も含まれる。iPS細胞とは、それらがpPS細胞の表現型を獲得するように、例えば、1つまたは複数の適当なベクターでのトランスフェクションにより、遺伝子改変されている細胞を意味する。これらの再計画された細胞により獲得された表現型形質には、胚盤胞から単離された幹細胞に類似の形態、表面抗原発現、遺伝子発現およびテロメラーゼ活性が含まれ、これらはすべて類似の胚盤胞由来細胞である。iPS細胞は、外胚葉、内胚葉および中胚葉の3つの一次胚葉それぞれからの少なくとも1つの細胞型に分化する能力を有しうる。iPS細胞も、免疫不全マウス、例えば、SCIDマウスに注射すると、奇形腫を形成しうる(Takahashi et al., (2007)Cell 131(5):861;Yu et al., (2007)Science318:1917)。] [0138] 本発明において用いる胚性幹細胞は、樹立胚性幹細胞株から選択してもよく、または一次胚組織から直接得てもよい。H1、H7、H9、H13またはH14(参照文献Thompson);hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03(BresaGen, Inc., Athens, GA);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International, Inc., Singapore);HSF-1、HSF-6(University of California at San Francisco);I 3、I 3.2、I 3.3、I 4、I 6、I 6.2、J 3、J 3.2(Technion-Israel Institute of Technology, Haifa, Israel);UCSF-1およびUCSF-2(Genbacev et al., (2005)Fertil. Steril. 83(5):1517);株HUES 1〜17(Cowan et al., (2004)NEJM 350(13):1353);ならびに株ACT-14(Klimanskaya et al., (2005)Lancet, 365(9471):1636)を含むが、それらに限定されるわけではない、多数の胚性幹細胞株が樹立されている。] [0139] 特定の態様において、本発明において用いるpPS細胞はフィーダーフリー様式で誘導されていてもよい(例えば、Klimanskaya et al., (2005)Lancet, 365(9471):1636参照)。特定の態様において、pPSは無血清環境で用いる前に培養してもよい。] [0140] 霊長類多能性幹細胞の培養条件 pPS細胞を、様々な基質、培地、および他の補充物質ならびに当技術分野において公知の因子を用いて培養してもよい。いくつかの態様において、適当な基質には、下記の1つまたは複数で構成されるマトリックスが含まれうる:ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパリン硫酸プロテオグリカン。いくつかの態様において、マトリックスはMatrigel(商標)(BD Biosciences, San Jose, CA)として市販されている、マウスEHS肉腫からの基底膜の可溶性抽出物を含みうる。他の態様において、マトリックスは、ヒト化された、またはマウス起源の、1つまたは複数のヒトの単離マトリックスタンパク質、例えば、CELLstart(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含みうる。霊長類多能性幹細胞は、増殖を促進する一方で、分化を阻害する培養条件を用いて、培養中に継続的に増殖させることができる。例示的培地は、80%DMEM(Knock-Out DMEM, Gibcoなど)、20%の規定ウシ胎仔血清(FBS、Hyclone)または血清代替品(US 2002/0076747 A1, Life Technologies Inc.)のいずれか、1%非必須アミノ酸、1mM L-グルタミン、および0.1mMβ-メルカプトエタノールから作成してもよい。他の適当な培地には、X-VIVO(商標)10(Lonza, Walkersville, MD)などの無血清合成培地が含まれる。] [0141] 特定の態様において、pPS細胞をフィーダー細胞を加えずに未分化状態で維持してもよい(例えば、(2004)Rosler et al., Dev. Dynam. 229:259参照)。フィーダーフリー培養物は典型的に、細胞を分化させずにその増殖を促進する因子を含む栄養培地によって支持する(例えば、米国特許第6,800,480参照)。特定の態様において、そのような因子を含む調整培地を用いてもよい。調整培地は、そのような因子を分泌する細胞と共に培地を培養することによって得られる。適当な細胞には、放射線照射(約4,000rad)した一次マウス胚線維芽細胞、テロメア化したマウス線維芽細胞、または霊長類多能性幹細胞由来の線維芽細胞様細胞(米国特許第6,642,048号)が含まれる。20%血清代替品および4ng/mL bFGFを補充したKODMEMなどの無血清培地にフィーダーを播種することにより、培地を調整することができる。1〜2日間調整した培地にさらにbFGFを補充し、これを用いてpPS細胞培養物を1〜2日間支持する(例えば、国際公開公報第01/51616号;Xu et al., (2001)Nat. Biotechnol. 19:971, 2001参照)。] [0142] または、細胞の未分化型での増殖を促進する追加因子(線維芽細胞増殖因子またはフォルクスコリンのような)を補充した、新鮮もしくは非調整培地を用いることもできる。例は、40〜80ng/mLのbFGFを補充し、任意にSCF(15ng/mL)、またはFlt3リガンド(75ng/mL)を含む、X-VIVO(商標) 10(Lonza, Walkersville, MD)またはQBSF(商標)-60(Quality Biological Inc. Gaithersburg, MD)のような塩基性培地である(例えば、Xu et al., (2005)Stem Cells 23(3):315参照)。これらの培地調合物は他のシステムの2〜3倍の細胞増殖を支持するという利点を有する(例えば、国際公開公報第03/020920号参照)。いくつかの態様において、hES細胞などのpPS細胞をbFGFおよびTGFβを含む培地中で培養してもよい。bFGFの適当な濃度には、約80ng/mlが含まれる。TGFβの適当な濃度には、約0.5ng/mlが含まれる。他の市販の培地調合物を、本発明の特定の態様において用いてもよい。適当な培地調合物には、X-VIVO(商標) 15(Lonza, Walkersville, MD);mTeSR(商標)(Stem Cell Technologies, Vancouver, CA);hTeSR(商標)(Stem Cell Technologies, Vancouver, CA)、StemPro(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)およびCellgro(商標) DC(Mediatech, Inc., Manassas, VA)が含まれうる。] [0143] いくつかの態様において、霊長類多能性幹細胞を>15,000細胞/cm−2(最適には90,000/cm−2から170,000/cm−2)で播種してもよい。典型的には、細胞が完全に分散する前に酵素消化を停止してもよい(例えば、コラゲナーゼIVで約5分間)。次いで、約10から2,000細胞の塊を適当な基質上に、それ以上分散させずに直接播種してもよい。または、細胞をPBS中0.5mMEDTAの溶液中で約5分間インキュベートするか、または所望の細胞をプレートから、かき取りもしくは細いピペットでの単離などにより、機械的に分離することにより、プレートがコンフルエンスに達する前に酵素なしで回収してもよい。培養容器から洗浄後、細胞をそれ以上分散させずに新しい培養物中に播種してもよい。さらなる例示において、フィーダー非存在下で培養したコンフルエントなヒト胚性幹細胞を、0.05%(wt/vol)トリプシン(Gibco(登録商標), Carlsbad, CA)および0.05mM EDTAの溶液と、37℃で5〜15分間インキュベートすることにより、プレートから取り出してもよい。プレートに残っている細胞を取り出し、単独細胞および小さいクラスターを含む懸濁液に粉砕し、次いで生存を促進し、分化を制限するために、50,000〜200,000細胞/cm−2の密度で播種してもよい。] [0144] 特定の態様において、pPS細胞をフィーダー細胞、典型的には胚または胎児組織由来の線維芽細胞の層上で培養してもよい(Thomson et al., (1998)Science 282:1145)。特定の態様において、これらのフィーダー細胞はヒトまたはマウスの源由来であってもよい。ヒトフィーダー細胞は様々なヒト組織から単離することができ、またはヒト胚性幹細胞の分化によって線維芽細胞へと誘導することもできる(例えば、国際公開公報第01/51616号参照)。特定の態様において、用いうるヒトフィーダー細胞には、胎盤線維芽細胞(例えば、Genbacev et al., (2005)Fertil. Steril. 83(5):1517参照)、ファロピウス管上皮細胞(例えば、Richardset al., 92002)Nat. Biotechnol., 20:933参照)、包皮線維芽細胞(例えば、Amit et al., (2003)Biol. Reprod. 68:2150参照)、子宮内膜細胞(例えば、Lee et al., (2005)Biol. Reprod. 72(1):42参照)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。] [0145] 本発明の実施において、細胞の培養において用いうる様々な固体表面がある。それらの固体表面には、6穴、24穴、96穴、または144穴プレートなどの、標準の市販の細胞培養プレートが含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の固体表面には、マイクロキャリアーおよびディスクが含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、マイクロキャリアーはビーズである。それらのビーズは、細胞接着を強化するための正電荷の基を有するCytodex Dextranビーズ、細胞接着のためのゼラチン/コラーゲンコーティングされたビーズ、および細胞接着のための異なる多孔度を有するマクロ孔性マイクロキャリアービーズなどの、様々な形で提供される。Cytodex Dextran、ゼラチンコーティングおよびマクロ孔性マイクロキャリアービーズは市販されている(Sigma-Aldrich, St. Loius, MOまたはSolohill Engineering Inc., Ann Arbor,MI)。特定の態様において、ビーズは粒径90〜200μmで、350〜500cm2の面積を有する。ビーズは、ガラスまたはプラスティックなどであるが、それらに限定されるわけではない、様々な材料からなりうる。特定の態様において、ディスクを細胞の接着のための撹拌タンクバイオリアクター内で用いてもよい。ディスクは、New Brunswick Scientific Co, Inc. (Edison, NJ)などの会社が販売している。特定の態様において、ディスクは、ポリエステル/ポリプロピレンディスクのFibra-cel Disksである。これらのディスク1グラムは1200cm2の表面積を提供する。] [0146] pPS細胞を増殖させるのに適した固体表面は、ガラスまたはポリスチレン、塩化ポリビニル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、メリネックス、もしくはサーマノックスなどのプラスティックを含むが、それらに限定されるわけではない、様々な物質からなりうる。本発明の特定の態様において、固体表面は三次元の形状であってもよい。例示的な三次元固体表面は、例えば、US20050031598に記載されている。] [0147] 特定の態様において、細胞は本発明の方法の間、単独細胞懸濁液である。単独細胞懸濁は、スピナーフラスコ、振盪機フラスコ、または発酵槽での培養を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な様式で実施しうる。用いうる発酵槽には、Celligen Plus(New Brunswick Scientific Co, Inc., Edison, NJ)、およびSTRすなわちStirred-Tank Reactor(Applikon Inc., FosterCity, CA)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、バイオリアクターは培地で継続的に灌流してもよく、または流加培養様式で用いてもよい。バイオリアクターは2.2L、5L、7.5L、14Lまたは20Lを含む異なるサイズで提供される。] [0148] 一般的技術 本発明の実施において有用な一般的技術をさらに精巧にするために、当業者は標準の教科書および細胞生物学、組織培養、発生学、および免疫学の総説を参照することができる。] [0149] 組織および細胞培養ならびに胚性幹細胞に関して、読者は当技術分野において入手可能な多数の出版物、例えば、Teratocarcinomas and Embryonic Stem cells: A Practical Approach (E.J. Robertson, ed., IRL Press Ltd. 1987);Guide to Techniques in Mouse Development (P.M. Wasserman et al. eds., Academic Press 1993);Embryonic Stem Cell Differentiation in Vitro (M.V. Wiles, Meth. Enzymol. 225:900, 1993);Properties and Uses of Embryonic Stem Cells: Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy (P.D. Rathjen et al., Reprod. Fertil. Dev. 10:31, 1998;およびR.I. Freshney, Culture of Animal Cells, Wiley-Liss, New York, 2000)のいずれかを参照したいと思うであろう。造血系統細胞の生物学に関して、読者は任意の免疫学の教科書、例えば、Immunobiology: The Immune System in Health and Disease (Janeway et al., 2001 Garland Publishing)を参照してもよい。] [0150] 霊長類多能性幹細胞の樹立株由来の場合、本発明の細胞集団および単離細胞は、それらの由来元の株と同じゲノムを有するとして特徴づけることができる。これは、霊長類多能性幹細胞と分化した子孫細胞との間で、RFLPまたはSNP分析により、染色体DNAが基本的に同一であることを意味する(細胞はヒトの手により遺伝子操作されていないと仮定して)。例えば、非コード領域における微細な改変は可能であるが、pPS細胞株とそれぞれの子孫との間の遺伝的同一性は、同じ双生児で見られるものに匹敵することが理解される。] [0151] 分化した細胞の遺伝子改変 本発明の細胞を、分化の前または後のいずれかで遺伝子操作することにより、1つまたは複数の遺伝子改変を含むようにすることができる(US 2002/0168766 A1)。例えば、いくつかの態様において、細胞が発育が制限された系統の細胞または最終分化細胞に前進する前または後のいずれかで、テロメラーゼ逆転写酵素を発現するように細胞を遺伝子改変させることにより、それらの複製能力を高めるよう処理することができる(US 2003/0022367 A1)。] [0152] 本発明の細胞は、免疫応答の調節に関与する、または治療遺伝子を投与部位に送達する、それらの能力を増強するために遺伝子改変することもできる。所望の遺伝子の公知のコード配列を用いてベクターを設計し、分化した細胞型において汎特異的または特異的に活性なプロモーターに機能的に連結する。または、プロモーターは、遺伝子改変の時間を合わせた発現を可能にする誘導性プロモーターであってもよい。例えば、細胞を遺伝子操作して、応答を増強する、または応答を抑えることにより免疫応答を調節するサイトカインを発現してもよい。] [0153] 以下の実施例において、ヒト胚性細胞(hES)細胞を用いたすべての実験は樹立hES細胞株を用いて実施した。] [0154] 実施例 実施例1:分化カクテルを変化させることによるhES細胞のmDCへの分化 本実施例において、まずpPS細胞を分化カクテルと共に培養してimDCを得、次いでimDCを成熟カクテルと共にさらに培養することにより、pPS細胞をmDCに分化させた。分化カクテルは外因性サイトカインからなり、これらは細胞がimDCステージに分化するにつれ、実験の経過中に変化させた。(図1a)。ヒトES細胞株H1(Thomson et al., (1998)Science 282:1145)を、動物由来産物を含まない規定の無血清培地中、フィーダーフリーで培養した(Xu et al., (2001)Nat Biotechnol 19:971;Li et al., (2005)Biotechnol Bioeng 91:688)(図1b)。細胞を分化および成熟プロトコルの間、ストローマ細胞フリーでも培養した。] [0155] hES細胞を胚様体(EB)の形成を許容する条件下で培養した。簡単に言うと、H1細胞をコラゲナーゼD(Invitrogen, Carlsbad, CA)で処理し、1×PBSで1回洗浄し、プレートを細胞スクレイパー(Corning Life Sciences, Corning, NY)で緩やかにかき取った。次いで、細胞を6穴超低接着プレート(Corning Life Sciences, Corning, NY)に、1mMピルビン酸Na(Invitrogen, Carlsbad, CA)、1×非必須アミノ酸(Invitrogen, Carlsbad, CA)、2mM L-グルタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)、5×10-5M2-メルカプトエタノール(Sigma, St Louis, MO)、および10mMHEPES(Invitrogen, Carlsbad, CA)を補充したX-VIVO 15培地(Lonzo, Walkersville, MD)中、3百万細胞/ウェルで播種し、胚様体を形成させた。以下の増殖因子を培地に加えた:SCF(20ng/ml)、VEGF(50ng/ml)、BMP-4(50ng/ml)、およびGM-CSF(50ng/ml)。すべての増殖因子はR&D Systems(R&D Systems, Minneapolis MN)から購入した。各ウェルは4mlの培地を含んでいた。細胞を2〜3日に1回、1:3の培地交換を行ってフィードした。] [0156] 第5日にBMP-4を増殖因子カクテルから除去し、第10日にVEGFを増殖因子カクテルから除去し、第15日にSCFを増殖因子カクテルから除去した(図1A)。第17〜第25日あたりで、丸くて光沢のある造血系前駆細胞が見られた(図2)。約100,000から約百万の浮遊して光沢のある前駆細胞がウェルの中に見られ、これらを回収し、遠心し、元の6穴超低接着プレートに再度播種し、GM-CSF(50ng/ml)およびIL-4(50ng/ml)(R&D Systems, Minneapolis, MN)を含むX-VIVO 15(Lonzo, Walkersville, MD)中で培養してimDCを生成した。元のEBを新しい6穴超低接着プレートに約40〜50日間移し、2〜3日に1回GM-CSF(50ng/ml)を含む培地をフィードし(1:3培地交換)、光沢のある造血細胞を産生し続け、これらを回収し、次いでGM-CSFおよびIL-4と共に培養し、分化させて、さらなるimDCを産生させた。] [0157] hES細胞のフローサイトメトリー分析を以下のとおりに実施した:細胞を50μlのフロー緩衝液(PBS+0.1%BSA+2mMEDTA)に再懸濁し、抗FC受容体抗体(Miltenyi, Aurburn, CA)を用いて4℃で10分間ブロックし、次いで標的マーカーに対する抗体を加えた(抗体は以下の表Iに示す)。4℃で20分間インキュベートした後、細胞をフロー緩衝液で2×洗浄し、試料分析の5分前に1試料あたり2ulの7AAD(0.25ug/1×106細胞)(BD Bioscience, San Jose, CA)を加えて、細胞生存度を評価した。試料データをFACSCalibur(商標)(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて収集し、FlowJo(登録商標)ソフトウェア(Treestar, Ashland, OR)を用いて解析した。細胞内Oct-4染色のために、細胞を細胞内固定緩衝液(eBioscience, San Diego, CA)を用いて固定し、透過化緩衝液(eBioscience, San Diego, CA)を製造者の指示に従い用いて透過性とした。予想通り、細胞はいずれもhES細胞のマーカーであるOct-4およびSSEA-4を発現した。加えて、細胞はいずれもVEGFの受容体であるFlt-1およびFlk-1、ならびにSCFの受容体であるCD117も発現した。GM-CSF受容体のCD116は検出されなかった(図1C)。] [0158] imDCをフローサイトメトリー(前述のとおり)で下記のマーカーについて分析した:CD14、HLA-I、HLA-II、CD83、CD205およびCD11b。細胞はHLA-I、HLA-II、CD83、およびCD11bについて陽性であることが判明した(図4A)。4〜6日後、これらの未熟DCを遠心し、下記のサイトカインを含むX-VIVO 15培地に再懸濁した:IFN-γ(25ng/ml)、IL-1-β(10ng/ml)、TNF-α(10ng/ml)、PGE2(1μg/ml)およびGM-CSF(50ng/ml)(成熟カクテル)。細胞を培養中でさらに48時間維持して、成熟DCを生成した。mDCをFACS(前述のとおり)で分析し、下記のマーカーを発現することが判明した:HLA-I、HLA-II、CD40、CD86、CD83、CD205、CD11chi、およびCCR7。細胞はCD14については陰性であった(図4B)。CD83は樹状細胞成熟のマーカーである。CCR7はDC遊走に関与するケモカイン受容体である。発現特性は末梢血単核球(PBMC)由来のDCに匹敵していた。細胞をリアルタイム定量的PCRにより下記の転写因子の発現についても分析した:NF-κB、CIITAおよびSpi-B(図4C)。Spi-BはPBMC由来のDCで発現されることが明らかにされている(Schotte et al., (2003)Blood 101(3):1015;Rissoan et al., (2002)Blood 100(9):3295;Schotte et al., (2004)J. Exp. Med. 200(11):1503;Chicha et al., (2004)J. Exp. Med. 200(11):1519。NF-κBは共刺激分子発現に関連し、DC活性化プロセスにとって必須である。CIITAはHLA-II発現の主調節因子である。] [0159] 細胞を形態学的に分析し、DCに典型的な形態を有することが判明した(図4D)。mDCの形態をさらに試験するために、細胞をメイ-グリュンワルド染色剤により染色した。細胞を1×PBSで洗浄し、50ulの1×PBSに再懸濁し、サイトスピン装置で調製したガラススライド上に加えた。10ulの細胞懸濁液をスライドに載せた。スライドを1200rpmで5分間、ShandonCytospin3(Thermo Scientific, Waltham MA)を用いて遠心した。次いで、細胞をメイ-グリュンワルド染色剤溶液(Sigma, St Louis, MO)を用いて、25℃で5分間染色し、dH2Oで3×洗浄し、終夜風乾した。試料領域をPermount(登録商標)(Sigma, St Louis, MO)でコーティングし、カバーグラスを載せ、スライドを終夜乾燥させた。直立顕微鏡により100×の平面対物レンズおよび40×のPlan-Neofluar対物レンズ(Zeiss, Peabody, MA)で画像を取った。図4Eに示す結果は、mDCが、細胞から発出する分岐した突出物または樹状突起を含む、PBMCから単離した樹状細胞に典型的な形態を有することを示していた。細胞をフローサイトメトリー(前述のとおり)でCD19、CD3、CD235aおよびCD41(それぞれB細胞、T細胞、赤血球、および血小板、巨核球を示す)についても分析したが、これらのマーカーすべてについて検出できないことが判明した。標本は5〜20%の顆粒球および5〜20%の前駆細胞を有することが判明した。細胞集団は約50%から約90%DCの範囲であった。] [0160] 実施例2:分化中の細胞培養物の時間経過分析 pPSをimDCに分化させるプロセスの間に生じる前駆細胞集団を特徴づけるために、実施例1に記載の細胞培養物を、RTPCRおよびリアルタイム定量的PCR(以下に記載のとおり)を用いて転写因子発現について経時的に評価し、フローサイトメトリー(前述のとおり)により細胞表面マーカーの発現について経時的に評価した。] [0161] リアルタイム定量的PCRのために、標的細胞を回収し、全RNAを標準のQiagen RNeasy(登録商標) Mini Prepプロトコル(Qiagen, Valencia, CA)に従って単離した。Qiagen QiaShredder(Qiagen, Valencia, CA)を用いて、溶解産物をホモジナイズした。単離したRNAを-80℃で保存した。cDNA合成のために、1μgのRNA試料をDNアーゼ(Ambion, Austin, TX)で処理して、RNA調製からの任意のゲノムDNA不純物を除去した。逆転写酵素PCR(RT-PCR)をSuperscript II(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)第一鎖合成システムを用いて実施し、cDNAを作成した。cDNA生成物を水で1:5に希釈し、Taqman(登録商標) PCR Cycle Threshold(CT)Real Time Quantitation(Applied Biosystems, FosterCity, CA)の鋳型として用いた。試料をApplied BioSystems 7900HTSequence Detection System(Applied Biosystems, Foster City, CA)にかけた。標的シグナルを第0日の標的シグナルに対して標準化することにより、データを相対的発現レベルについて解析した。図3aおよび3bに結果を示す。第5日までに、Oct-4の発現は20分の1に低下した。第5日までのブラキュリの5倍増大は、細胞が中胚葉に分化したことを示していた。Flk-1は造血系幹細胞で見いだされる。Flk-1の発現増大は、造血細胞集団の分化を示唆していた。Tie-2の発現は血管芽細胞の分化を示唆していた。血管芽細胞は造血系および内皮系の両方の可能性を有する細胞からなる。] [0162] 図3bは、さらなる転写因子の経時的な発現レベルを示す。HoxB4およびGata2両方の発現レベルの増大は、細胞が造血細胞集団に分化したことを示唆していた。HoxB4は造血系幹細胞の再生および生存において役割を果たす(Antonchuk et al., (2002)Cell 109(1):39。Gata2は、GMPでも発現される早期造血系転写因子である。] [0163] フローサイトメトリーを実施例1に記載のとおりに実施した。すべてのフローサイトメトリー実験で用いた抗体を以下の表1に示す。] [0164] (表1)] [0165] 図3cおよび3dは、経時的なCD45およびCD34の発現についてのフローサイトメトリー試験の結果を示す。第5日までのCD34の発現は、早期造血を示すものであった。第5日までに、培養物の形態は嚢胞性胚様体の外観を呈した(図3e)。第15日までに、汎造血細胞マーカーであるCD45の発現が明らかであった。同時に、転写因子PU.1が、リアルタイム定量的PCRにより検出された(図3b)。PU.1発現は早期造血細胞において見いだされ、その発現レベルは細胞が樹状細胞へと分化するにつれて増大する(Guerriero et al., (2000)Blood 95(3):879;Nutt et al., (2005 J Exp. Med. 201(2):221)。骨髄系統マーカーのCD13発現は、第15日までに明らかとなった(図3F)。これは、分化カクテルからSCFを除去した時点までに、細胞はすでに造血および骨髄系統に入っていたことを示唆していた。単球マーカーのCD14は第20日までに発現された(図3F)。CD13およびCD14両方の発現は時間と共に増大した(図3F)。] [0166] 第20日までに、培養物中に2つのCD45+集団:CD45hiおよびCD45loがあることが明らかとなった(図3G)。CD14の発現はCD45hi集団において経時的に増大した。第32日までに、細胞の65%がCD14およびCD45を発現した。CD14発現はCD45lo集団では見られなかった(図3G)。前方散乱と側方散乱プロットで、CD45hi集団は(R1)と称する単球/樹状細胞ゲートの細胞と相関し、一方、CD45lo集団は(R2)と称する顆粒球前駆細胞ゲートと相関する(図3G)。CD45hi集団を分化プロトコルの第32日にさらに特徴づけ、CD11c、CD11b、HLA-I、HLA-IIlo/negおよびCD86について陽性であることが判明し(図3H)、これらはすべて細胞がimDCであることを示唆していた。CD86はT細胞活性化に関与する共刺激分子であり、一方、CD83はmDCマーカーである。CD83発現の欠如は細胞がmDCではないことを示していた。] [0167] 実施例3:抗原の処理と提示 hES由来imDCの抗原を処理する能力を試験するために、蛍光色素DQ-OVA(Invitrogen, Carlsbad, CA)をPBSに1mg/mlで溶解し、実施例1に記載のhES由来imDCに100μg/mlで加えた。タンパク質をpH非感受性BODIPY-Fl色素で標識した。色素は、タンパク質が完全な状態であれば自己消光するが、タンパク質が変性されているか、またはタンパク質分解を受けていれば、明るい緑色蛍光を発する。細胞を37℃または4℃(背景蛍光のための対照として)のいずれかでインキュベートし、フロー緩衝液で2×洗浄した。データをFL1においてFACSCalibur(商標)(Becton Dickinson, San Jose, CA)で収集した。処理した細胞は蛍光を発することが判明し、タンパク質がimDCによってタンパク質分解されたことを示していたが、対照細胞は蛍光を発しなかった(図5a)。] [0168] 機能検定を次に実施して、実施例1の方法に従って作成したDCが、適応免疫応答の1つの証明である、IFNγの抗原特異的リンパ球分泌を刺激しうるかどうかを調べた。おたふく風邪タンパク質を刺激抗原として用いた(Biodesign, Saco, ME)。タンパク質を、実施例1に記載のhES由来imDCに100ug/mlで1時間加えた。次に前述の成熟カクテルIFN-γ(25ng/ml)、IL-1-β(10ng/ml)、TNF-α(10ng/ml)、PGE2(1μg/ml)およびGM-CSF(50ng/ml)を加えた。24時間後、未処理またはおたふく風邪タンパク質で処理した成熟DCを回収し、AIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)で2×洗浄した。DCを1×104細胞/ウェルで、1×105 PBMC/ウェルと共に播種した(Cellular TechnologiesLTD, Shaker Heights, OH)。IFNγ ELISPOTプレートを読み出しに用いた(Millipore Corp. Bedford, MA)。ELISPOTプレートを抗IFNγ Ab(Mabtech, Mariemont, OH)により10ug/mlで終夜(16〜24時間)コーティングした。検定プレートを37℃および5%CO2で16〜24時間放置し、Mabtechが提供する説明書に従って展開した。スポットをCTLAnalyzer(Cellular Technology Limited, Decatur, IL)を用いてカウントした。結果を図5Bに示し、これらは本発明のmDCによるIFNγ産生が未処理対照に比べて3倍の差があることを示している。] [0169] 実施例4:サイトカイン産生 定性的サイトカインアレイ分析を、Human Cytokine Array IIIおよびVキット(Raybiotech, Norcross, GA)を用いて、実施例1記載の方法に従って得たimDCおよびmDC両方で実施した。検定を製造者の説明書に従って実施した。mDCは以下の炎症誘発性サイトカインを産生することが判明した:IL-6、IL-7、IL-8、およびIL-10。IL-7はT細胞生存にとって重要であると考えられる。IL-8は走化性刺激であると考えられる。サイトカインIL-6、IL-10、およびIL-12を、BD Cytometric Bead Array(BD Biosciences, San Jose, CA)を用い、製造者の説明書に従って定量した。hES由来の未熟および成熟DCからの上清を回収し、Amicon Ultra-15 10,000 NMWL(Millipore, Bedford, MA)遠心チューブを用いて濃縮した。上清をヒトIL-6、IL-10、およびIL-12ビーズフレックスセット(BD Biosciences, San Jose, CA)に加え、25℃で1時間インキュベートした。PE(BD Biosciences, San Jose, CA)に結合した抗体検出試薬を加え、室温でさらに2時間インキュベートした。試料を1×洗浄し、洗浄緩衝液(BD Biosciences, San Jose, CA)に再懸濁し、FACSCaliber(商標)(Becton Dickinson, San Jose, CA)でのフローサイトメトリーにより回収した。サイトカイン濃度をFCAP Array Software(BD Biosciences, San Jose CA)を用いて定量した。結果を図6Aに示し、これは3つのサイトカインすべての顕著なレベルがmDCによって産生されることを示していた。] [0170] 実施例5:mDCの走化性分析 AIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)を、孔径8.0uMのインサートを含むTranswell24穴プレート(Corning, Corning, NY)の上部および下部チャンバーに加え、37℃、5%CO2で終夜インキュベートした。各ウェルから培地を除去した後、ケモカインMIP3β(100ng/ml)を含む、または含まないAIM-V培地0.6mlを下部チャンバーに加えた。hES由来成熟DC(実施例1に記載のとおり)を回収し、AIM-V培地で2×洗浄した。細胞をAIM-V培地に2.0×106細胞/mlで再懸濁し、0.1mlを上部チャンバーに加えた。トランスウェルプレートを37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。下部チャンバーに遊走した細胞の数を、血球計数器を用いて求めた。結果を図6Dに示し、これらは本発明のmDCがMIP3βに応答して遊走することを示していた。] [0171] 実施例6:樹状細胞の免疫刺激能力 実施例1の方法に従って産生したmDCの、免疫応答を刺激する能力を特徴づけるために、いくつかの検定を実施した。第一に、mDCが強い未処置アロ応答を刺激する能力を有することを示すために、混合リンパ球反応(MLR)検定を行った。] [0172] PBMC由来DCを、新鮮な健常供与者軟膜調製物からの末梢血単核細胞(PBMC)を単離することにより調製した。PBMCをAIM-V培地中、組織培養フラスコに2時間接着させ、次いで温PBSで洗浄して非付着細胞を除去した。残った付着細胞はほとんど単球からなり、これらを1000U/mlの組換えヒトインターロイキン4(rhIL-4)(R&D Systems, Minneapolis MN)および組換えヒトGM-CSF(rhGM-CSF)(R&D Systems, Minneapolis MN)と共に37℃、5%CO2で6日間インキュベートして、imDCを生成した。次いで、imDCをAIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中、800U/ml rhGM-CSF、10ng/ml TNFα、10ng/ml IL1-β、ならびに10ng/ml IL-6および1.0ug/mlPGE2(R&D Systems, Minneapolis MN)で24時間成熟させた。] [0173] MLR検定のために、PBMCを健常志願者から得た軟膜(Stanford Blood Bank)から、細胞をFicoll-Paque交配(Amersham Pharmacia Biotech AB, Buckinghamshire, UK)で遠心することにより単離した。単離細胞を洗浄し、10%FBS(Clonetech, Mountain View, CA)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含む完全RPMI1640培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中に再懸濁した。96穴U底プレート(Becton Dickinson, San Jose, CA)中、5×104 PBMCおよび異なる数の放射線照射した刺激細胞(hESC、単球由来DCおよびhES由来DCのために2000rad)を96穴U底プレート(Becton Dickinson, San Jose, CA)中で混合し、5%CO2、37℃で5日間インキュベートした。次いで、細胞に1uCi3Hチミジン/ウェルを、5%CO2、37℃で18時間適用した。細胞をUniFilter-96 GF/C(PerkinElmer, Waltham, MA)上にFiltermate Harvester(Perkin Elmer, Waltham, MA)を用いて回収し、3Hチミジン取り込みをTopCountシンチレーション計数器(Perkin Elmer, Waltham, MA)を用いて計数した。結果は実施例1に従って産生したmDCが良好な同種刺激活性を有することを示していた(図7A)。] [0174] 次に、mDCの抗原特異的エフェクターT細胞を刺激する能力を調査した。CMVペプチドpp65(アミノ酸配列495〜503)を用いて、CD8+リンパ球に対するDC抗原提示を示した。pp65ペプチドを特異的に認識する、CD8リンパ球を含む特徴づけられたPBMC応答細胞を用いた。CD8Tリンパ球およびDCは共通のHLA-A2対立遺伝子を有していた。CMV特異的抗原提示のために、成熟PBMC-DCおよびhES由来DCを、10μg/mlのCMV pp65ペプチドを補充した、または補充なしの無血清AIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)150ulに再懸濁した。細胞を37℃、5%CO2で2時間インキュベートし、次いでAIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)で2×洗浄した。DCをELISPOTプレートに1×104細胞/100ul/ウェル、応答細胞と刺激細胞の比10:1で播種した。CMVに特異的な、特徴づけられたPBMC応答細胞(Cellular Technologies Limited, Decatur,IL)を37℃の水浴中で解凍し、2回洗浄し、AIM-V培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中に再懸濁し、ELISPOTプレート(Millipore, Bedford MA)に1×105細胞/100ul/ウェルで播種した。ELISPOTプレートを10ug/mlの抗IFNγAb(Mabtech, Mariemont, OH)で終夜(16〜24時間)コーティングした。検定プレートを37℃、5%CO2で16〜24時間放置し、Mabtechが提供する説明書に従って展開した。スポットをCTLAnalyzer(Cellular Technology Limited, Decatur, IL)を用いてカウントした。図7bに示す結果は、mDC(図中でES-DCと表示)はIFNγ産生を刺激し、これはPBMC-DCに匹敵することを示していた。] [0175] 次に、mDCのインビトロでT細胞拡大を刺激する能力を試験した。CMV T細胞株(67%特異性)(ProImmune, Bradenton,FL)を37℃で解凍し、1mMピルビン酸Na、非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン、5×10-5M2-メルカプトエタノール、およびHEPESを補充した1640 RPMI培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)+5%FBS(Invitrogen, Carlsbad, CA)で2×洗浄した。次いで、T細胞を37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。5mM CellTrace CFSE保存溶液(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用直前にDMSO(Invitrogen, Carlsbad, CA)に溶解した。T細胞をあらかじめ温めたPBS/0.1%BSAに1×106/mlで再懸濁した。色素を細胞に最終濃度2uMで加え、37℃で10分間インキュベートした。Celltrace色素を5×氷冷培地の添加により消光させた。細胞を2×洗浄した後、検定を準備した。]
权利要求:
請求項1 霊長類多能性幹細胞を未熟樹状細胞に分化させる方法であって、霊長類多能性幹細胞を顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)および骨形成タンパク質4(BMP-4)を含む複数の外因性サイトカインと接触させる段階を含む、前記方法。 請求項2 霊長類多能性幹細胞を下記の1つまたは複数と接触させる段階をさらに含む、請求項1記載の方法:血管内皮増殖因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、胎児肝キナーゼリガンド(FLT3L)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン4(IL-4)およびインターロイキン3(IL-3)。 請求項3 霊長類多能性幹細胞がヒト胚性幹細胞である、請求項1記載の方法。 請求項4 霊長類多能性幹細胞の未熟樹状細胞への分化を無血清条件下で実施する、請求項1記載の方法。 請求項5 霊長類多能性幹細胞の培養および霊長類多能性幹細胞の未熟樹状細胞への分化をフィーダーフリーで実施する、請求項1記載の方法。 請求項6 霊長類多能性幹細胞の未熟樹状細胞への分化をストローマ細胞なしで実施する、請求項1記載の方法。 請求項7 未熟樹状細胞を成熟カクテルと接触させることにより、未熟樹状細胞を成熟させる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 請求項8 成熟カクテルが下記の1つまたは複数を含む、請求項7記載の方法:腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン1β(IL1β)、インターフェロンγ(IFNγ)、プロスタグランジンE2(PGE2)、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(POLY I:C)、インターフェロンα(IFNα)、CD40リガンド(CD40L)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)。 請求項9 成熟樹状細胞を抗原と接触させる段階をさらに含む、請求項7記載の方法。 請求項10 抗原が核酸分子である、請求項9記載の方法。 請求項11 核酸分子がRNA分子である、請求項10記載の方法。 請求項12 抗原がペプチドである、請求項9記載の方法。 請求項13 成熟樹状細胞を放射線源と接触させる段階をさらに含む、請求項9記載の方法。 請求項14 霊長類多能性幹細胞を未熟樹状細胞に分化させる方法であって:a)pPS細胞を、骨形成タンパク質4(BMP-4)、血管内皮増殖因子(VEGF)および幹細胞因子(SCF)と接触させて、霊長類多能性幹細胞を中胚葉細胞に分化させる段階;b)a)の中胚葉細胞を血管内皮増殖因子(VEGF)、幹細胞因子(SCF)、およびGM-CSFと接触させて、中胚葉細胞を造血幹細胞に分化させる段階;c)b)の造血幹細胞をSCFおよび顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と接触させて、造血幹細胞を単球に分化させる段階;ならびにd)単球を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびインターロイキン4(IL-4)と接触させて、単球を未熟樹状細胞に分化させる段階を含む、前記方法。 請求項15 インビトロでステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)、ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞を、CD11cを発現する細胞に分化させる方法であって、ステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)、ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞をGM-CSFおよびBMP-4を含む分化カクテルと接触させる段階を含む、前記方法。 請求項16 ステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)、ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞をVEGFと接触させる段階をさらに含む、請求項15記載の方法。 請求項17 ステージ特異的胚抗原3(SSEA3)、ステージ特異的胚抗原4(SSEA4)、ならびにTra-1-60およびTra-1-81と命名された抗体を用いて検出可能なマーカーを発現する細胞をSCFと接触させる段階をさらに含む、請求項15記載の方法。 請求項18 有糸分裂不活性の抗原提示細胞を産生するためのシステムであって、a)pPS細胞を含む第一の単離細胞集団、およびb)第一の単離細胞集団の一部のインビトロ子孫である、有糸分裂を不活化した成熟樹状細胞を含む第二の単離細胞集団を含む、前記システム。 請求項19 成熟樹状細胞の少なくとも5%がCD86およびCD83から選択される1つまたは複数のマーカーを発現する、請求項18記載のシステム。 請求項20 CD86およびCD83から選択される1つまたは複数のマーカーを発現する成熟樹状細胞が以下のMHCIIおよびCCR7の1つまたは複数をさらに発現する、請求項19記載のシステム。
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引用文献:
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